【はじめに】
【酒は百薬の長】
酒飲み御用達の言葉であり、ワタクシ個人も長らく愛用させてもらっています。
約 2000 年前の中国に由来を持つこの言葉ですが、実際は医学的根拠などまったくなく、元はといば酒税の徴収率UPをもくろんだ政府のキャッチフレーズだったとか。
日本では、かの有名な「徒然草」の中で初めてこの言葉が登場したそうですが、“酒は多くの病気を引き起こす” とマイナス面の記述がなされており、鎌倉時代の段階ですでに「百薬の長」なるものは否定されていたようです。
リモートワークやオンライン飲み会などが主流になりつつある今、割安、かつ自宅の中という安心空間に身を置く気の緩みからか、全体的にアルコール摂取量が増えている傾向にあるようです。
今一度社会全体がアルコールとの接し方を見直さなければならない時ではないでしょうか。
アルコールが身体に及ぼす影響とは
これまで「外飲み」で働かせてきたストッパーにもし緩みが生じているならば、すでにあなたの体には「アルコール関連疾患」と呼ばれる何らかの病魔がジワジワと忍び寄っているかもしれません。
糖尿病、肝機能障害、高血圧、不整脈…
WHO(世界保健機関)もお酒について、「60 種類以上の病気の原因」であり「200 種類以上の病気に関連」している、と指摘し各国に注意を促しています。
アルコールの脳への影響
一定量を超えたアルコールの摂取は脳を萎縮させ認知症が促進されるとの報告もあるようですが、最も身近に知られるものはやはり「アルコール依存症」ではないでしょうか。
多量のアルコールを慢性的に飲み続けると、人間の脳は知らず知らずのうちにアルコールを不要物から必要物へと認識を変え、お酒が切れると、吐き気、手の震え、幻覚、などのいわゆる「離脱症状」といったものが出現するようになるそうです。
当然仕事や日常生活にも大きな支障をきたし、医師によって「アルコール依存症」と診断されると断酒は当然のことながら家族をも巻き込んだ長期にわたる治療が必要となってきます。
「もしかしたら自分も…」
と気になる方は、まずはこちらの check ツール で結果をみてみましょう。
いくつかの質問に答えるとAUDIT(オーディット)得点なるものが算出され、あなたのお酒に対する危険レベルやそれに応じたアドバイスなどが表示されます。
AUDIT ➡ WHO(世界保健機関)を中心に開発された「お酒の飲み方の問題を評価するテスト」のことです。
適正飲酒量とは
飲酒量の単位を「ドリンク」といい、「純アルコール 10g を含むアルコール飲料」が「1 ドリンク」とされています。
そして、厚生労働省は 1 日あたりの適正な飲酒量を、「お酒を飲んでも赤くならないタイプの男性」を基準として「2 ドリンクまで」と定めていますが、さすがにこれだと分かりにくいので一般的なアルコール飲料を例にとると以下が 2 ドリンク相当になります。
- ビール ➡ 中瓶 1 本(500ml)
- 日本酒 ➡ 1 合(180ml)
- ウイスキー ➡ ダブル(60ml)
- 焼酎 ➡ 0.5 合(90ml)
- ワイン ➡ グラス 2 杯(240ml)
更に厚生労働省は生活習慣病のリスクを高める飲酒量といった基準も設け、こちらは 1 日あたりのアルコール摂取量を「4 ドリンク以上」としています。
ようするに適正飲酒量の 2 倍以上ですね。
ちなみにこれらの数値はあくまでも大まかな目安で、性別や年齢、その他様々な状況によって大きく個人差がある点を忘れてはいけません。
女性、顔が赤くなるタイプの男性、65 歳以上、については 2 ドリンクより少ない量が望ましいとされており、海外においては女性や高齢者は基準の半分程度が目安とされています。
当然ながら、未成年者、妊婦、授乳婦、の方はそれ自体で飲酒厳禁です。
「一気飲み」などによる急性アルコール中毒は 死への早道切符です。
どのような方であれ、してもさせても絶対にいけません。
【参考動画】(福島ニュース〚福テレ〛)
〖コロナ禍で増加【キニナル・アルコール依存症】節度ある飲酒はビール500ミリ1本程度 (22/08/14 20:00)〗
アルコールの分解時間
飲む量が増えると必然的にアルコールが抜けきるまでの時間も長くなります。
通勤や所用などで翌日に車を運転する予定があるならば、当然それまでにアルコールの分解を完了させておかなければなりません。
逆にいうと、「運転する時間までに分解が完了する量」以上のお酒を飲んではならないということです。
一般的基準として、10g(1ドリンク)の純アルコールが体内から排泄される時間は約 2.5 時間とされています。
とはいえ、飲むお酒の種類や量も日によって様々で、毎回計算などしてられない方も多いでしょう。
そういった時は、飲酒量チェック & 飲酒運転防止ツール の [SNAPPY – PANDA] が便利です。
飲む(飲んだ)お酒の種類やサイズの絵柄を、空の棚にドラッグ & ドロップするだけで瞬時にアルコール分解時間を算出してくれますので、パソコンやスマホなどに登録しておくことをオススメいたします。
※ こちらに関しても個人差や状況などで大きく変化しますので、あくまで目安としてご利用下さい
飲酒運転は、自分だけでなく他人の人生や命をも奪いかねない最も危険な行為です。
「飲んだら乗るな」が鉄則です。
“血中 1ml 中 0.3mg、または呼気 1ℓ 中 0.15mg 以上” のアルコールが検出されるただそれだけでも…
〖3 年以下の懲役、又は 50 万円以下の罰金〗
があなたを待ち受けています。(道路交通法第 65 条第 1 項、他)※ 2020 年 8 月時点
最後に
「お酒」の歴史はことのほか古く、果実などが自然発酵したものを人類誕生以前にサルなどがこれをたしなんだのがその起源だとされています。
古代エジプトではピラミッドの建設労働者に対価としてビールが支給されていたそうですし、日本においては「古事記」(712 年)や「日本書紀」(720 年)に早くもお酒の話が登場します。
何かと悪い面ばかりがクローズアップされがちな「お酒」ですが、農業や文化の発展など歴史上あらゆる場面に貢献してきたのもまた事実です。
何より、ストレス過多の現代社会を生き抜くには多くのヒトにとって欠かせないものの一つでもありましょう。
〖彼を知り、己を知れば百戦殆うからず〗
孫子先生が酒好きだったかどうかは知りませんが、兵法の格言同様、末永く美味しいお酒を楽しむには、まずは「お酒の怖さ」を知り、「自分自身について」を知ることが何より肝要かと思われます。
うっかり木から落ちることのないよう、節度ある適度な飲酒を心掛けましょう。
※ 当記事は、厚生労働省の専門家メンバーによって執筆・編集がなされた冊子、「市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン」を主な参考資料として作成いたしました。
当資料は 100 ページ近い中に、お酒やアルコール依存症のアレコレ、絆創膏を用いた簡単なパッチテストの方法、などが具体的かつ分かりやすく記されており、また「基礎知識」や「豆知識」など “酒飲み” に必要な情報も満載です。
詳しくお知りになりたい方はプリントアウトされることをオススメいたします。(スマホでは見れないカモ…)
【オススメ商品】 アルコールチェッカー
【おまけ動画】(京都大学医学部附属病院 監修)
〖教えて京大病院「アルコール依存症のハナシ」〗
《前編》
《後編》
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