【はじめに】
その美しい姿は、日本人だけでなく多くの外国人をも魅了してやまない霊峰富士。
流れゆく車窓の景色に興味はなくても、富士山だけは、
「見えた !」
「見えない !」
など一喜一憂する方も多いのではないでしょうか。
そうした、日本の象徴ともいうべき富士山ですが、2020 年 3 月、コロナ禍の中でほとんど注目されない中、政府の中央防災会議は富士山噴火に関する驚愕のシミュレーションを発表しました。
「えっ ?? 富士山て噴火するの ??」
ニュースなどを見てそう思った方も中にはいらっしゃるでしょう。
富士山というと学校の授業で “休火山” だと教わった方が多いかもしれませんが、今では大きく基準が見直され活火山に変更されております。
そして、その富士山が、どうやら過去の噴火周期からも、また足元の地震データからも、いつ噴火してもおかしくないかなりヤバイ状態に現在あるんだそうな。
同じく秒読み中の「南海トラフ地震」と連動する可能性も大いにありうるとか。
てなわけで今回は、「富士山噴火」の想定される被害や、火山灰の怖ろしい影響等を動画なども交えご紹介。
富士山は休火山から “要注意” の「活火山」へと変更!
日本の火山は長きにわたって、
「文献に噴火記録のない火山」を “死火山”
「文献に噴火記録はあるが長期間噴火活動のない火山」を “休火山”
と単純な定義で分類され、富士山も以前は休火山だとされていました。
ところが 2001 ~ 2002 年、噴火の前兆現象のひとつとされるマグマや火山ガスの活動に伴う「低周波地震」が富士山周辺で頻発し、それが半年もの間継続したことから、富士山は今なお活動中の活火山だということが判明したそうです。
その直後の 2003 年、火山予知連絡会は定義を大きく見直し、
「概ね、過去 1 万年以内に噴火した火山、及び、現在活発な噴気活動のある火山を活火山とする」
と変更いたしました。
その結果、2020 年現在、我が国における活火山の数は 111(下画像左)にのぼり、そのうち火山予知連絡会が選定した「監視、観測体制の充実が必要」とされる要注意火山は 50(下画像右)とされ、富士山も今ではこれに属しております。
わが国における活火山の数は、全世界に有する活火山の実に 8% にも及び、日本という国がいかに火山大国かがこの数値からもお分かりいただけるでしょう。
前兆すでに到来済み!「南海トラフ地震」と連動する可能性も⁉
津波などで多くの被害を出した東日本大震災はまだ記憶に新しいですが、同時に富士山を始め日本各地の火山にも大きな影響を与えたとされています。
火山の噴火は、マグマに含まれる僅かの水分が何らかの要因で水蒸気に変化し、マグマの体積が膨張することによって引き起こされるそうです。
開栓前の炭酸飲料に大きな衝撃を与えたのと同じ状態らしく、このことを「発泡」といいます。
地震によって火山の発泡が促されることは、研究やデータなどからすでに明らかとなっています。
東日本大震災で大きな刺激を受けたであろう富士山ですが、その 4 日後、自身の直下でも M6 強の地震を発生させました。
これはマグマだまりの少し上の岩石が割れて生じたものらしく、これによってマグマの圧力が更に変化し、発泡も一層促進したであろうとされています。
もはや引き金に指がかかった状態らしく、火山学者達がこぞって警鐘を鳴らすのも頷けましょう。
他方、もうひとつの懸念材料である「南海トラフ大地震」は今後 30 年以内に 70 ~ 80% の確率で襲来すると予測されており、この地震が富士山大噴火を引き起こす可能性も大いにあるようです。
事実、1707 年 の「宝永大噴火」は大地震のわずか 49 日後に発生しており、これはあまりにも恐ろしいデータではないでしょうか。
写真:「富士山宝永噴火絵図」静岡県立中央図書館歴史文化情報センター提供
富士山噴火はどこから ?
富士山の整った形状から、当然頂上部からドーンと噴火しそうなものですが、どうやらそうとも限らないようです。
1707 年の宝永大噴火では 5 合目付近から、864 年の貞観(じょうがん)大噴火では 2 合目付近から、その他にも様々な場所からドーンといったようで、現状では直前まで噴火ポイントの予測は困難であろうといわれています。
写真中央の山頂火口よりも遥かに大きい宝永大噴火の火口が、写真上部にはっきりと見てとれます。
富士山噴火はいつ来る? 噴火の規模は?
火山の噴火もプレート地震同様に、眠っていた期間が長ければ長いほど、その破壊力、爆発力は大きくなるのが通常のようです。
富士山についていえば、前回の地震から既に 300 年以上が経過しており、富士山噴火史の中でここまで長期にわたって平穏を保っていた例はないらしく、次の噴火はかなり大規模になるであろうことが予想されています。
いまだかつて、富士山クラスの火山噴火が近代都市に直接被害をもたらした例はなく、
「未曾有の都市災害に見舞われるのでは」
ともいわれており、風向き次第では日本一国を滅ぼしかねない危険性すら指摘されています。
富士山噴火の火山灰による影響
大きな被害をもたらすのは、やはりその膨大な量の火山灰に他ならず、シミュレーションによれば、仮に南風の場合、その降灰は東海、北陸、東北などかなりの範囲に及ぶとされています。
降灰エリアや降灰量は、風向や風速によって大きく変わるとされていますが、それらがどうあれ、富士山近隣や首都圏一帯の社会的機能に多大な影響が出るのは間違いないでしょう。
富士山噴火後の 2 週間で堆積する火山灰の量は、桜島噴火の約 200 年分にも相当するとの試算もあり、影響の大きさが他の火山噴火とはまったく比にならないのがこうしたことからもよく分かります。
火山灰による機械類への影響
火山灰は、一般的にモノを燃やした時にできる灰とは成分も性質もまったく異なっており、マグマが発泡した際に特殊なかたちで精製される、いわばガラスの粒のようなものです。(写真参照:Wikipedia より)
降灰量によっては、ファン、フィルター、ポンプ類などを利用した機器は故障するか、あるいは停止せざるを得なくなるでしょう。
エンジンが吸い込むと飛行機墜落の原因ともなり、また、火力発電所の吸気フィルターや送電線に付着することによって停電も起こりうるとされています。
火山灰による交通機関への影響
空港は当然に閉鎖され、鉄道も レールへのわずか 0.5㎜ の降灰でシステム障害を起こして運行不能 になるそうです。
車やバイクは、1㎜ の降灰で出せれるスピードはせいぜい 30㎞ だそうで、10㎝ 積もればもはや通行不能といわれています。
こうなると、被災地域への出入りは徒歩のみしか手段がありません。
しかし、火山灰は「ガラスのような粒子」ですから、当然呼吸器官などへの悪影響は必至です。
火山灰が降り続くといわれている約 2 週間は、むやみに出歩かないのが賢明でしょう。
積もった火山灰に雨が降ると…
火山灰に水分が加わると、その重みによって家屋の倒壊が顕著となり、ショートなどで停電の可能性も格段に跳ね上がるといわれています。
車やバイクは 3㎝ の降灰でも通行不能になるそうで、火山灰と雨がセットになることによって、より一層深刻さが増すとされています。
富士山の監視体制や噴火予知の現状
富士山に限らず、わが国の火山への監視観測体制は、予算だのなんだのと政治のカラミもあったりで、残念ながら満足なものとはいえないようです。
これだけ危険だと騒がれている富士山にしても、諸般の事情から 5 合目より上に観測所は設置されておりません。
山頂に残された気象庁の旧測候所(写真参照:Wikipedia より)が、整備さえすればまだ利用できるにもかかわらず、予算云々で国からは放置されているとか。
NPO「富士山測候所を活用する会」が独自に借り受けて運用してきましたが、コロナによる入山規制などもあって資金が枯渇しており、現在(2020 年 7 月)存続が危ぶまれております。
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最後に
観測装置の完璧な設置は当然のこととして、
「一つ一つの火山に精通した観測者が、24 時間 365 日、常にアンテナを張り続けることが何よりも重要」
と専門家は言う。
最新の観測装置をくまなく張り巡らせてもそう簡単にはいかないのが噴火予知。
おかしな音、おかしな震動、おかしなニオイ…
「いつもと違う… 何かおかしい…」
手足を使った調査とともに、最後に頼れるのはやはり熟達した専門家のアタマと五感のようです。
そして「何かおかしい」政治や国を変えていくのは我々国民の責務でもありましょう。
避けることのできない自然災害ですが、被害を最小限に抑えることは不可能ではありません。
そのためには一人一人がこれまで以上に防災意識を高め、方向を同じくして必要な声を上げ続けていくことが肝要ではないでしょうか。
【参考動画】
〖活火山富士 噴火は迫っているのか ?〗
〖【首都崩壊の危機】 富士山大噴火のシミュレーション 〗
災害への備えに
⇩【防災士厳選防災グッズ】⇩
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