太陽嵐とは
皆さんは「太陽嵐」なるものをご存じでしょうか?
地球上の「嵐」のように肌身で感じられるものではなく、 太陽表面で起こる大規模な爆発(太陽フレア)によって宇宙空間に放たれるエネルギーや粒子のことをこう言います。
太陽というのは黒点の増減とともに、活動が活発な時期とそうでない時期を 11 年周期で繰り返していますが、太陽嵐は主に黒点の増える活発な時期に発生しやすいとされています。
太陽嵐は一直線に進むため、地球の正面で起こらなければなんら問題ありませんが、
大規模な爆発(太陽フレア)が地球の真正面で起これば事は深刻
です。
三段階からなる太陽嵐(大規模太陽フレア)の攻撃
【電磁波】⇨ 爆発後、光の速さと同じ、約 8 分にて地球に到達します。
主に電波障害を引き起こすもので、人工衛星や飛行機無線など通信関係に影響を及ぼすとされています。
【放射線】⇨ 爆発後、数時間程度で地球に到達するとされています。
宇宙空間で活動中の宇宙飛行士は保護施設への避難を余儀なくされますが、地球上にいれば上空のバリアによってその大半はブロックされます。
【コロナ質量放出(CME)】⇨ 爆発後、2 ~ 3 日程度で地球に到達するとされています。
我々に最も深刻な影響を及ぼすとされているもので、これに伴って生成された電気エネルギーが送電線の電流を乱し、電力システムの破壊や大規模な停電を招きます。
速さは一定でなく、高速の場合十数時間で地球に到達するものも。
普段ありえない低緯度地域でオーロラが観測されたとしたらまず太陽嵐に間違いなく、もはやのんびり観賞に浸ってる場合ではありません。
過去の主な太陽嵐(大規模太陽フレア)
- 1859 年 ⇨ 「キャリントンイベント」ともよばれ、近代では最も大規模な太陽嵐だとされています。
欧米で広範囲にわたって電信システムが不能に陥ったものの、一般社会にまだ電気は普及しておらず、市民生活に大きな打撃はありませんでした。
この時発生したオーロラは新聞が読めるほどに明るいものだったとか。
- 1989 年 ⇨ 「キャリントンイベント」の半分程度の威力ながら、カナダのケベック州にて 約 600 万戸が 9 時間に及び停電したそうです。
- 2012 年 ⇨ 「キャリントンイベント」と同規模の太陽嵐が発生しましたが、運よく地球をかすめただけだったらしく、NASA が 2014 年に公表し、その詳細が明らかとなりました。
これはまさに紙一重で、地球が 1 週間前に通過した公転軌道をまともに横切ったとのこと。
NASA によれば、この時の太陽嵐は現代文明を 18 世紀に後退させるほど強烈な威力を有していたそうで、万一地球を直撃していれば全世界における経済的損失は 2 兆ドルに及んだであろうとのことです。
もし 1 週間早く太陽嵐が起きていれば、今まさにライフラインのない生活を余儀なくされていたはずで、考えるとゾッとします。
日本文献にみるオーロラ(太陽嵐 ?)の記録
- 【1204 年】 ⇨ 《藤原定家》が「明月記」なる日記にて、京都で見たオーロラらしき記述を残しております。
※ 写真:Wikipedia より
- 【1710 年】 ⇨《東羽倉家》が、京都の空を覆ったオーロラらしき絵図をその日記「星解」の中で描いており、この時の太陽嵐は史上最大規模であったろうと推測されています。
※ 写真:三重県松阪市提供
上記「星解」をもとに当時の太陽嵐を研究した「国立極地研究所」の発表記事は こちら
得体の知れない恐怖はあったかもしれませんが、電気のなかったこれらの時代は何ら日常が変わることもなく、
「なんだかキレイどすなぁ~」
と平和にオーロラを眺めていたことでしょう。
しかし我々の現代社会では…
水道など、一見電気とは無関係に思われるものもほとんどの場合システムのどこかに電力を利用しており、その供給はほぼストップしてしまいます。
場合によってはインフラの完全復旧まで数ヵ月 ~ 数年かかるともいわれており、そうなると今の便利な生活は根底から覆されることになるでしょう。
太陽のちょっとした「咳払い」がコロナウィルス以上に我々の生活を激変させるってことです。
どうやら地球そのものにも巨大なマスクが必要ですね。
【参考動画】
〖もし太陽嵐が地球を襲ったら?〗
〖【終末】史上最強の太陽フレアが現代で発生するとどうなるのか? 〗
【オススメ書籍】
【赤いオーロラの街で】 伊藤瑞彦 著
北海道の知床を舞台に、超巨大太陽フレア発生 ➡ 赤いオーロラ出現 ➡ 世界停電 ➡ 通信・交通網遮断 ➡ 復旧に数年… という、恐ろしくも現実に起こりうるシミュレーションを描いた小説です。
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