【はじめに】
「最近ナマズのフライばっか食ってんだ~」
…なんてことを口にしようものなら、おそらくはほとんどのヒトから奇異な目を向けられるはず。
けど、その “ほとんどのヒト” も知らず知らずのうちにどこかで食べているのではないでしょうか。
“白身魚” が好きならなおさらで、更に「イオン」や「コストコ」といったスーパーが近所にあればほぼ確定的です。
記事を読まれたアナタがもし上記に該当するならば、手に取った白身魚のラベルをよ~く見てみましょう。
魚名が “パンガシウス” となっていれば、それはまぎれもなく “ナマズ” です。
食用ナマズ、 “パンガシウス” とは
“パンガシウス” とは、簡単に言えば、“美味しい白身魚” として世界各地で食されている東南アジア産(主にベトナム)の食用ナマズのことです。
“バサ” や “チャー” などとも呼ばれ、地元で古くから食べられていたものが、1990年代以降他国への輸出が本格化されて広まりました。
日本も古来より在来種の “マナマズ”(写真参照: Wikipedia より)などを食してきた文化があって、平安末期の「今昔物語」などにもその記載がみられるようですが、様々な背景から今では一部地域以外ではほとんど食されなくなりました。
分類上は “パンガシウス” も “マナマズ” と同じ「ナマズ目」ですがどちらかといえば遠い親戚って感じかもしれません。
“パンガシウス” は成長すれば “マナマズ” よりはるかにデカく、体長は 1㍍ 以上 にもなるそうです。
愛嬌あるヒゲ面は同じですが…
写真:イメージ
ベトナム産 “パンガシウス” の主な輸出先は中国、ヨーロッパ、アメリカで、これらの国々では早くからその名は知れ渡っているようですが、日本は積極的に輸入してこなかったこともあって、知名度も高いとはいえないでしょう。
“白身魚” と曖昧に扱われてきたのも原因のひとつかもしれません。
ただ、2014年以降、大手スーパー「イオン」や「コストコ」などが本格的に店頭販売を始めたことから日本人愛食者も年々増えつつあるようです。
「イオン」の “パンガシウス”
影武者的な日本の “パンガシウス” に日の目を浴びせたのが、大手スーパーの「イオン」ではないでしょうか。
価格高騰のとまらない “ウナギ” や、他の白身魚の代替品としてベトナム産 “パンガシウス” に目をつけた「イオン」は、2012年から実験的に取り入れ、その2年後には輸入・販売を本格化させました。
2017年には「なまず(パンガシウス)の蒲焼き」なども登場させ話題にもなりました。
「イオン」の “パンガシウス” は、ただ大量に輸入して大量に販売しているのではなく、飼料の生産から養殖池の管理、冷凍フィレへの加工に至るまですべて自社で一括管理しており、日本の店頭で売られる商品はもれなく「asc認証」(下記にて説明)を得たものです。
また、鮮度劣化を防ぐため解体スタッフの技術向上にも取り組み、さばく時間なども大幅に短縮させました。
どうしても「東南アジア産 = 信用ならん」、といった先入観を持ちがちな日本人ですが、これらのことから、まずは口にしても安心できるのではないでしょうか。
“ナマズ” の栄養成分 等
“パンガシウス” としての成分表は検索不可でしたが、一般的な “ナマズ” の栄養成分は以下で確認できます。
参考までに “うなぎ” も一緒に貼り付けておきます。
他の食品成分もいろいろお知りになりたい方は、こちら【文部科学省 食品成分データベース】からどうぞ。
“パンガシウス” の今後
「買い放題に食べ放題」… という言い方は大げさかもしれませんが、“パンガシウス” 1 尾が産む卵の数は 約 800 万個 にもなるらしく、その 8% 程度 が捕獲可能となるそうです。
ベトナムだけでなく他の国にも養殖が広まっている背景を考えると、“供給過多” こそあれ “絶滅” などとは無縁かもしれません。
日本の輸入量も統計を取り始めて以降激増しているようで、当面 “格安安定供給” が崩れることはないのではないでしょうか。
焼き、フライ、鍋…
万能選手として何にでも使え、「蒲焼き」 などは食感も味もほぼウナギと変わらないといわれる “パンガシウス” 。
天然、養殖ともにウナギの先行きが暗い今、「なまずの蒲焼き」や「なま重」 が日本で市民権を得る日もそう遠くないような気がします。
まだ食べたことのない方は、機会があれば一度ご賞味されてみてはいかがでしょうか?
【“パンガシウス” のレシピ】
〖白身魚 “パンガシウス” のレシピいろいろ(イオン公式サイト)〗
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