【はじめに】
中学高校の部活動で常に人気の【吹奏楽(ブラスバンド)部】。
特に中学入学を控えた御本人やその親御さんには「詳しく知りたい !」って方も多いのではないでしょうか。
公立私立を問わず、たいていどこの中学にも存在する吹奏楽部ですが、学校によってその規模や活動内容等はさまざま。
ただ、どこの学校も最低限の人数さえ揃っていれば定番中の定番、【全日本吹奏楽コンクール】や【全日本マーチングコンテスト】での上位入賞を目指して練習に励むのが一般的でしょう。
○十年前のお話ながら、ワタクシは当時その両方において “強豪” とされていた、兵庫県西宮市にある上甲子園中学校の吹奏楽部にてトロンボーンなる楽器を奏しておりました。
頭に残るのは、やはりそれらに向けた厳しい練習の日々。
そして、その合間合間を縫っての各種イベントやテレビ出演など、とにかく自分の時間など全くないタレントのごとき生活を送っていたような気がします。
そして先日、何となく母校の名を入れ YouTube で検索してみたところ、思いのほか当時テレビ放映されたものなどがいくつも出現 !
映像を眺めながら、懐かしさとともに部活漬けだった辛い毎日が昨日の事のようによみがえり、そのついでってわけでもないですが、自分の経験した “吹奏楽” なるものがどういったものだったのかをふと書き記してみようと思った次第です。
あくまで自身の “記憶” なり “経験” なりをメインに記してますが、学校や時代を問わず大まかな点ではそう大差ないものと思われ、“吹奏楽” に興味を持たれている方々の何らかのご参考にでもなれば幸いです。
吹奏楽部ってどんな楽器を使うの ?
吹奏楽に興味はあるもののイマイチ詳しくないって方は、何よりもまず初めに “楽器” そのものについてが気になるとこではないでしょうか。
てなわけで、まずは “楽器” についての基本的なことをサクッと記しておきましょう。
吹奏楽部で使用する楽器は読んで字のごとし、“吹く” 楽器がそのほとんどで、バイオリンやピアノなどは基本的には使いません。
“吹かない” もので使用するのはドラムなどの打楽器類と、一部の弦楽器(コントラバスやハープ)くらいではないでしょうか。
各学校によって使用する楽器に多少のちがいはあるかもしれませんが、下写真 ❶ ~ ⓬ が自身の所属した吹奏楽部ではメインとして使われていました。
❶ ~ ❻ は「木管(もっかん)楽器」、❷ ~ ⓫ は「金管(きんかん)楽器」といわれるものですが、金属製のサクソフォン(サックス)やフルートが「木管楽器」であるように、つくりが “木製の管” か “金属製の管” かで区別されているわけではありません。
この呼び名は単なる昔の名残で、現在では吹く楽器の中で “唇の振動” を用いて音を鳴らすものはすべて「金管楽器」、そうでないものは「木管楽器」とされています。
個々の楽器についてを詳しくお知りになりたければ下の各写真下の “楽器名” を、音色を聞きたければ “参考動画” をクリックして頂ければ〖Wikipedia〗なり〖YouTube〗なりへジャンプできますのでぜひご活用下さい。
なお、写真の楽器以外にも、トランペットの兄弟「コルネット」やチューバの兄弟「スーザフォン」など類似楽器が何かとありましたが、これらについては省略させて頂きました。
楽器の値段って高いの ?
中学入学を控えたお子様が
「吹奏楽部に入りたい !」
と言い出したら思わず笑顔引きつる親御さんも多いのではないでしょうか。
一般的に “カネのかかる吹奏楽部” とよく言われますが、どこまで私財の持ち出しが必要になるかは選んだ楽器によって、あるいは学校によって大きく異なるかもしれません。
トロンボーンを吹いていた自身の例で言うと、まず楽器そのものは過去に先輩たちが寄贈したものや学校の予算なりで購入したものが部室に複数本あったので、3 年間特に購入する必要はありませんでした。
ボロボロでまともに使えないものも何本かありましたが…
とはいえ入部して真っ先に、楽器の口元に差し込む「マウスピース(通称マッピ)」(上写真参照)だけは自宅練習用として買わされました。
確か当時でひとつ 1 万円前後くらいだったかと…
これ、カップの深さや口元部分の輪っかの厚さなど型番がいくつもあって、例えば “唇の厚いヒトで高音域が出しやすいのはこの辺り” みたいな感じのラインナップなので、自分に合ったものを一発で見つけるのはなかなかに難しいかもしれません。
実際ワタクシも何本か買うハメに。(泣いたのは親ですが…)
反面、クラリネットやフルートなど小型の木管楽器は自由に使えるものがほとんどなかったことから、ほぼ全員が楽器を購入したと記憶しています。
トロンボーンやトランペットなどの金管楽器やサックスなどは、自分専用の楽器が別途欲しけりゃ親にオネダリして買ってもらう、てな感じだったでしょうか。
そんなこんなで、親として気になるのはやはり楽器のお値段。
お察しの通り、どれもかなり高額です。
例えば、一般的な日本の楽器メーカー「ヤマハ」のクラリネットなら初心者向けの安価なものでも 10 万オーバー。
上は 100 万近いものもあり、海外の有名メーカーともなればなお一層お高いでしょう。
また、楽器は買えばそれで終わりってわけではなく、口元のリード(クラリネットやサックスに必要なもので、金管楽器にいうマウスピースみたいなもの)やメンテナンスグッズの定期購入、壊れた時の修理代、などのランニングコストもかさんできます。
さらには練習に必要な周辺グッズも何かとあって、例えば譜面を立てる譜面台、音のピッチ(気温などによって変化する高い低いの微妙な狂い)を修正するためのチューニングメーター、一定のリズムを教えてくれるメトロノーム、などなど。
これらはある程度学校側で用意されてもいるでしょうが、足らないなど場合によっては身銭を切って購入せざるを得ないでしょう。
高い楽器を親に買ってもらいながら厳しい練習についていけずにすぐ辞めてしまった、なんて連中もワンサカおりました。
ですので、続くのかどうなのか先の見通せないうちに買うのであれば、値の張らないモデルにしておいた方が無難かもしれません。
以下では「ヤマハ」のさまざまな楽器が価格とともに紹介されています。
ご参考までにどうぞ。
【全日本吹奏楽コンクール】とは
ほとんどの吹奏楽部がまず目標とするのは、夏から秋にかけて開催される【全日本吹奏楽コンクール】での上位入賞ではないでしょうか。
これは太平洋戦争以前から催されている歴史ある大会で、あらかじめ定められた「課題曲」と自由に決めることのできる「自由曲」の二種類を、演奏のみにおいてその実力を競い合うといったものです。
一部例外もありますが、基本的には〈地区予選 ⇨ 都道府県大会 ⇨ 支部大会 ⇨ 全国大会〉と順にコマを進めていくもので、各予選や大会ではそれぞれ 金・銀・銅 の各賞が審査員によってジャッジされます。
上位の大会へ進むには下位の大会で金賞を取り、なおかつその中から選ばれなければなりません。
“金落ち” や “ダメ金” などと言ってましたが、金賞を受賞しながら上の大会へ進めないのはなかなかに悲しいものがあります。
また、演奏時間、使用できる楽器、参加できる人数、などなど大会の規定には形式上の細かなものも何かとあって、当然それらに抵触すれば曲の審査以前に “失格” となります。
例えば「中学の部」では参加人員は 50 名以内と定められておりますが、部員数の多い有名校などでは何よりもまずこの枠内(レギュラーメンバー)に入れるよう仲間内での競争に勝ち抜く必要がありましょう。
【全日本吹奏楽コンクール】についてのその他細かな情報は、以下サイトなどでご確認下さい。
【全日本マーチングコンテスト】とは
「マーチング」とは楽器を吹き鳴らしながら行進したりステップを踏んだりして、耳だけでなく観客の目をも楽しませるといった演奏形態をいいます。
日本では自衛隊のマーチングがつとに有名ですが、演奏をしながら統制の取れた美しい “動き” をするためにはかなりの体力と練習が要求されます。
中学や高校の吹奏楽部でもこれを取り入れているところは多く、そのほとんどが【全日本マーチングコンテスト】での上位入賞を狙って日々の練習に励んでいます。
【全日本マーチングコンテスト】も前述した【全日本吹奏楽コンクール】と同様に主催者は「全日本吹奏楽連盟」&「朝日新聞社」で、コマの進め方もほぼ同じ。
多くの学校ではこれら 2 つが毎年の 2 大イベントになるかと思われ、【吹奏楽コンクール】が “文化系” なら【マーチングコンテスト】は正反対の “体育会系”。
開催時期が微妙に重なることから両者ともにいい結果を出すのは至難の業で、ダブル制覇を狙うには屋内や屋外を行ったり来たりしながら血を吐くような練習が必要となります。
吹奏楽部=文化系=楽チン といった先入観で入部をすれば、想定外の厳しい練習にソッコー根を上げてしまうかもしれません。
とりあえず百聞は一見にしかず、「マーチング」なり「マーチングコンテスト」なりがどんなものか、いまいちピンとこないって方は以下動画をご覧下さい。
映像は 2019 年に開催された【全日本マーチングコンテスト・中学校の部】にて金賞を受賞した面々です。
嬉しいことに、しっかりと我が母校も入っておりました。
ちなみに下の3つは昔々の大昔、ワタクシ自身も出演している宝塚大劇場でのテレビ放送。
今じゃありえぬ女子ユニフォームのミニスカートはレアかも。
画質最悪ですが気になる方はどうぞ。
てか歳バレバレやし…
〖上甲子園中学校吹奏楽部 1983年 アマチュアトップコンサート〗
〖上甲子園中学校吹奏楽部 1984年 アマチュアトップコンサート〗
〖上甲子園中学校吹奏楽部 1985年 アマチュアトップコンサート〗
【全日本マーチングコンテスト】についてのその他細かな情報は、以下サイトなどでご確認下さい。
余談ながら…
今や誰もが知る大女優の《常○貴○》さんは、同校吹奏楽部出身の我が後輩。
「上甲子園中学校 吹奏楽部」の動画検索で、1987 年・1988 年の “何か” がヒットすれば、JC 時代の彼女が映った超お宝映像にありつけるかもしれません。(髪は短いですが顔を見りゃすぐ分かるはず)
彼女ファンの方は挑戦されてみては?(笑)
楽器はクラリネットです。
上甲子園中学校 吹奏楽部メモワール
ここに記すわが中学時代の “吹奏楽部回想録” は遥か昔の話であり、世の中が大きく変わった今とでは部活の雰囲気やシキタリなどは大きく異なるものと思われます点、あらかじめ申し上げておきます。
当時の学校、特に中学校は、男性教師や先輩が生徒や後輩を鉄拳にて “指導” するのが当たり前の時代であり、どの部活動でも顧問や先輩に対して大なり小なり畏怖の念を抱くのはごく当然のことでした。
が、そんな中においてもわが吹奏楽部は他の部活とは比にならぬ凄まじい上下関係が伝統として受け継がれていたのです。
ただそれがはっきりと分かったのは、クラブ見学 ➔ 仮入部 のあとの “本入部” を済ませてから。
貴重な “獲物” を逃がさぬよう、本入部するまでは 1 年生に対し優しく優しく接するのがナラワシで、“鉄拳” などはもっての外でした。
恐るべしオンナ部員の上下関係
かくしてワタクシもトロンボーンの先輩に優しく優しく洗脳されながら、気づけば本入部に至ってたわけですが、何よりも真っ先にビビったのはオンナ連中のあまりに異様な上下関係。
事あるごとにワーワーギャーギャー感情をさらけ出し、そのつど男たちを辟易させるのが女性といった生き物でしょうが、もはやストッパーのかけらすら働いてない、どう見ても指導の名を借りたイジメやイビリ。
「何回おんなじこと言わせるんよっ !!! アンタ私のことなめてんのっっ !!??」
…てな感じで、泣き出すまで延々責め続けるみたいな。
3 年間自分が見てきた限りでは、いつの代も 3 年オンナは 2 年オンナに厳しく 1 年オンナにはヨシヨシって感じ。
“嫁姑” の関係と “おばあちゃんと孫娘” の関係みたいなものです。
2 年オンナはストレス発散に 1 年オンナをイジメたくても、3 年オンナの傘の下で守られている以上そう簡単にイジメることはできません。
部室の隅でシクシク泣いているのはいつも 2 年オンナと相場が決まっていました。
そんな 2 年オンナが 3 年になった時、彼女らの頭に去来するものは…
「ウフ… やっと邪魔者は失せた。今度は私達の番…」
…てなわけで、止むことなくこの “悪しき伝統” が繰り返されていたってわけです。
反面、男の方は鉄拳制裁も多く、厳しい上下関係といった点では変わりはなかったですが、基本は冗談なども言い合える和気あいあいとした雰囲気でオンナ達のごとき精神的苦痛はそうありませんでした。
そうした背景の中、オンナ部員達の先輩に対する “異常な挨拶” も学校内でたびたび問題とされました。
後輩ができてから自身もよく経験したことですが、例えば町中で先輩の誰かと後輩オンナが自転車ですれ違ったとします。
後輩オンナはすかさず自転車を降りて振り返り、「〇〇先輩こんにちわっ !!!」と大声で深々と頭を下げ、そのあと相手が見えなくなるまで不動の姿勢で見送らなければならない…てな感じです。
同じような光景が学校内のあちこちでも繰り広げられているわけだから、そりゃ問題にもなります。
当時のブラバン女子達の上下関係は、もはや元大日本帝国陸軍将校《小野田》さんも真っ青。
今の女子部員達からすればきっと想像不能な世界でしょうね。(苦笑)
トロンボーンとの出会い
中学に入学して初めてのクラブ見学の日。
友人たちと真っ先に訪れたのが吹奏楽部の部室でした。
一般に “部室” などと言えば 更衣室 & 倉庫 みたいな狭苦しいイメージかもしれませんが、わが吹奏楽部の部室はグラウンドの端に佇む 2 階建ての大きな洋館がそれでした。
2 階には部屋がいくつもあり、1 階の大広間では全員での演奏も十分に可能です。
現在は取り壊されてないそうですが、今思えば平凡な公立中学の敷地内に、どういった経緯で薄気味悪い洋館などが建つに至ったのか、ホント謎です。(幽霊話もチラホラ…)
ま、とりあえずその大きな洋館の玄関を開けたところ、真っ先に声をかけてきたのが 2 コ上の近所に住んでいた先輩でした。
「ちょっと吹いてみろや」
と、トロンボーンを手渡されたのがきっかけとなって、その後 3 年間トロンボーンなるモノと付き合うことになりました。
見たことはありましたが、触るのはその時が人生初です。
トロンボーンの魅力は、やはりトロンボーンだけにしかないあの伸び縮みする「スライド」でしょう。
昔から一度は触ってみたいと思っていた楽器だけにもうワクワクです。
構えさせてもらい、マウスピースに口を押し付け、えいっ!
あれ ??
必至に息を吹き込むもまったく音が出ない。
リコーダーのように、ただ空気を流せば音が出ると思ってたのは大きな間違いでした。
その後は唇の震わせ方などを簡単にレクチャーしてもらい、やがてひどい音ながらも「ブゥォォォ~~」…
「初日から音が出るなんて素質あるやんけ ! 明日もまた来いな !」
…てな感じに毎日毎日洗脳され続けたあげく、気付けば修羅の門をくぐっておりました。
この先輩、家が近所なことから毎朝の早朝練習を一緒に行くこととなったんですが、本来のシキタリでは 3 年よりも 2 年、2 年よりも 1 年の方が先に部室へ入り、しかも 1 年は掃除や先輩連中の楽器磨きなど何かと雑用をこなさなくてはならなかったのです。
…が、自分は 3 年の先輩に誘われるがまま一緒に重役出勤。
部室に到着し、玄関をくぐるや否や全後輩が動きを止め隣の先輩に大声で挨拶です。
当然 2 年の先輩は全員出揃っており、挨拶を済ませた後は無言でワタクシをギロリ。
仕方がなかったとはいえ、なんだかバツの悪~い 1 年生時代でした。
辞める決断はお早めに
1 年のうちはたいして重要な役割も与えられず基礎練習だけに明け暮れてたって感じでしたが、2 年になってレギュラーメンバー入りしてからは一変して過酷な日々に…
吹奏楽コンクールやマーチングコンテストが終わっても、各種イベントやその練習に日々追われ、気付けばアッという間に引退を迎えていました。
目上の者との接し方、仲間への思いやり、チームワークの大切さ、根性…etc
今にして思えば、楽器の技術云々よりも遥かに大切なものがこの 3 年間で得られたような気がします。
で、最後の最後にこんなアドバイスをするってのもなんなんですが…
辞める決断はできるだけお早いうちをオススメします。
コンクールにしてもマーチングにしても、主要メンバーとしてその中のピースに組み込まれてから辞める、てなことになると仲間内に甚大な迷惑をかけてしまうからです。(つーより、あっさり辞めさせてくれないと思います)
練習が進み、本番も迫っている状況なら欠けた穴埋めなどそう簡単にはできません。
例えば吹奏楽コンクールのメンバーとしてトロンボーンから 3 名選ばれていたとします。
その 3 名のプレイヤーは全員同じ楽譜を吹いているのかというと、実はそうではありません。
それぞれが 1st(高音域)・2nd(中音域)・3rd(低音域)に分かれてまったく違った楽譜を吹いているのです。
これはトランペットやクラリネットなども同じ。
同じ楽譜を吹いている人が他にもいれば 1 名欠けても何とかなりますが、そうでなければ一大事ってのはお分かりになりましょう。
さまざまな事情で辞めたいながらも「辞めたら多大な迷惑がかかる…」との重責からボロボロになりながらも歯を食いしばって続けた友人が何人もいました。
てなわけで辞める決断はお早めに !
けど…
頑張って続ければ間違いなく大きな財産にはなりますよ。
コメント