【はじめに】
鰻重、鰻丼、鰻の蒲焼、鰻の白焼…
日本人なら大好きな人は多いでしょう。
奈良時代の「万葉集」にも “武奈伎(むなぎ)” としてその記述が見られ、わが国で古来より食されてきた魚のひとつが “鰻(うなぎ)” です。
古代ローマや中世ヨーロッパなどでも高級食材とされていたらしい鰻ですが、その歴史の深さとは裏腹に未だその生態は多くの謎に包まれています。
「土用の丑(うし)の日」など夏に好んで食されているにもかかわらず “旬” は夏じゃないってのも意外な話。
てなことで、今回は日本の歴史と食文化には欠かせぬ魚、“鰻” のアレコレをご紹介。
“蒲焼” でも突きながら酒席でのウンチクになどにいかがでしょうか ?
なお、鰻には「ヨーロッパウナギ」「アメリカウナギ」「アフリカウナギ」など複数種存在しますが、共通事項以外については「ニホンウナギ」を基本に記しております点、ご了承ください。
“食べ物” としての「うなぎ」のアレコレ
値段は “そば代” 同等 !? 江戸時代の「うなぎ」は庶民の味方
縄文時代の遺跡などからも食後の “骨” などが発見されている鰻ですが、わが国で一般的な食べ物として定着したのは江戸時代の初期。
開拓した江戸の湿地に鰻が住み着くようになり、多くの労働者がそれを食するようになったのがきっかけとされています。
羨ましいことに、当時の値段は “そば代” と同程度だったとか。
“蒲焼(かばやき)” なる調理法は江戸時代以前より存在していたそうですが、現在のそれとは異なり、単純にぶつ切りにして串に刺して焼いただけで、味付けも塩や味噌だったそうです。
その様が「蒲(がま)」という植物の “穂” (写真の ○)の部分に似ていることから “がま焼” となり、それがナマって “かば焼” となったのが由来だそうな。
鰻料理店【重箱】が “重箱” に詰めたのが「鰻重」の起源
鰻が現在のように “タレ” で食されるようになったのは、江戸時代に「濃口醬油」が開発されて以降で、“開いて焼く” といった調理法が開始されたのは享保年間(8 代 徳川吉宗 将軍期)の頃だと言われています。
やがて「鰻丼」が登場し、出前などで冷めぬようにと “蓋” をする習慣もでき、そして現在の「鰻重」の起源ともなった “重箱” を使用したものが鰻料理店の【重箱(じゅうばこ)】によりお目見えしました。
その【重箱】の暖簾は東京赤坂にて現在においてもきっちりと引き継がれています。
『えっ !? 昼食で 16000 円 !?』
てことで、今や “そば代” レベルの所持金では敷居もまたげぬ高級店ですが、自分へのご褒美などに一度訪れてみてはいかがでしょうか ?
夏の「うなぎ」は最も味が悪い ??
「土用の丑の日」など日本では夏に好んで食される鰻ですが、実のところ “旬” とされるのは秋の終わりから冬の初めにかけて。
冬眠前に栄養を蓄えることから脂乗りが一番いいのがその時期らしく、逆に一年のうち一番味が悪いのが夏なんだそうです。
が、これはあくまで「天然鰻」の話であって、通常流通している「養殖鰻」については “水” だの “餌” だのといった管理方法や管理主体によってその味や質はきっちりコントロールされています。
どこの養鰻場も一年で最も勝負時である「土用の丑の日」に味が落ちるような育て方はしないはずなのでまずはご安心を。
栄養面に関しては、古くより “夏バテ防止” の筆頭格ともされてきた鰻ですが、栄養価の高い食べ物がちまたに溢れている現在においては別段抜きん出た存在ってわけではありません。
何はともあれ、鰻の血液には「イクシオトキシン」という有毒成分が含まれているため “生き血をすする” のだけは絶対にやめておきましょう。(加熱調理すれば毒性は失われます)
日本には『鰻と梅干は食い合わせが悪い』といった言い伝えがありますが、これは江戸時代中期以降に生まれた俗信で、医学的根拠はまったくありません。
逆に梅干の酸が鰻の脂を中和するとして食い合わせは良いとも言われています。
鰻の食品成分を知ろう
“生き物” としての「うなぎ」のアレコレ
ニホンウナギは 5 年から 15 年間、河川や河口域で生活した後、海へ下り、日本から約 2,000km 離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵。
産卵場が特定されたのは、平成 23 年 2 月(研究開始から 36 年)であり、依然としてその生態には不明な点が多い。水産庁
謎多き「うなぎ」(ニホンウナギ)の生態
まだまだ全容解明とはいかないニホンウナギの生態ですが、長年にわたる地道な調査研究によってある程度のことはわかってきたようです。
中でも大きな謎のひとつであった “産卵場所” が特定されたのは一番の快挙といえるでしょう。(上画像参照)
マリアナ周辺海域の調査によって、水深 150~200m 付近で産卵し、ゆっくりと上昇しながら 2 ~ 3 日程度で孵化することなども判明しているそうです。
孵化した赤ちゃん(「レプトセファルス」)は海を渡りながら全長 5㎝ 程の「シラスウナギ」へと成長し、やがて海流などに乗って各地沿岸へと辿り着きます。
このシラスウナギの時に捕獲され、人間の飼育によってオトナになった鰻が「養殖鰻」であり、それが日本で行われたならば「国産鰻」、外国で行われたならば「外国産鰻」となるわけです。
ですので、“養殖” とはいえ “半養殖半天然” って感じでしょうか。
鰻はそのほとんどがシラスウナギの段階で捕獲されることから、スーパーなどで見かける鰻はまず “国産” か “外国産” かの「養殖鰻」であり、完全な「天然鰻」 が市場に流通することはほとんどありません。
「天然鰻」がとてつもなく貴重で、そうそうお目になどかかれないってことは以下のデータを見て頂ければ一目瞭然でしょう。
“漁業生産量” とされているのが、いわゆる「天然鰻」の漁獲量のことで、もはやグラフの目盛りすらほとんど分かりません。
【参考】
「完全養殖」&「大量生産」が実現すれば「国産うなぎ」が激安に⁉
前述のごとく、現在の「養殖鰻」は天然のシラスウナギを捕獲してからの養殖なので、肝心のシラスウナギが獲れなければ話になりません。
そして需要に対し、シラスウナギの漁獲量が極めて少ない(養鰻業を営むのに許可が必要など行政上の制約も多い)ことから異常な価格高騰に見舞われているのが現状です。
そこで現在研究が進み、期待されているのがニホンウナギの「完全養殖」&「大量生産」の実用化です。
そもそも他の魚で可能な「完全養殖」がなぜ鰻では難しいのかというと、人の手で飼育した鰻はそのほとんどが “オス” になってしまうらしく、おまけにきっちり成熟するまで育たないからなんだそうです。
ようするに、ある程度まで育ったら後は食われて終わりの “一発モノ” ってわけで、これこそがまさに “養殖にもかかわらず値が高い” 原因なのです。
ところが 1960 年代以降、鰻を《メス化させ・成熟させ・採卵する》といった技術などが開発され、なんだかんだと段階を踏みながら平成 22 年(2010 年)には《卵から親魚まで育て、親魚から得た卵を孵化させる》といった「完全養殖」を成功させるまでに至りました。
商業化にはまだ多くの課題が残されているようですが、研究が進み、量産化・低予算化が実現すれば、「吉野家」のごとくそこかしこに格安の鰻丼専門店が建ち並ぶかもしれませんね。
【参考】
【令和 4 年 2 月 14 日 プレスリリース】
ニホンウナギの仔魚は、これまで液体状の飼料でのみ育成が可能でしたが、新たに開発した乾燥粉末化した飼料でシラスウナギまで育成することに成功しました。
乾燥飼料は保存、給餌などの省コスト・省力化に大きなメリットがあり、今後、乾燥飼料の改良および給餌方法と給餌量の検討をさらに進めることで人工シラスウナギ生産の進展が期待されます。水産研究・教育機構
その他「うなぎ」の豆知識
❶ 成魚の全長は 1m ~ 1.3m ほど
❷ 近畿では「まむし」とも呼ぶ
❸ えらだけでなく皮膚でも呼吸できるため体さえ濡れていれば生きられる
❹ 切り立った絶壁でも濡れてさえいればクネクネと登ることができる
(「うなぎのぼり」の語源)
➎ 簡単に釣れるが “釣れる場所” を探すのが難しい
❻ “嗅覚” の鋭さがハンパなく不自然な匂いのものは食べない
(鰻漁の仕掛け「うなぎ筒」も新品のものは “匂い” でバレるためしばらく水没させておくか土中に埋めておく必要がある)
❼ 外海や汽水域に生息する鰻は「青うなぎ」と呼ばれ川魚特有の臭みがないため珍重される
(岡山県児島湾のものは有名)
❽ 調理法は、関東・九州は「背開き」で、関西は「腹開き」
❾ イスラム教やユダヤ教では “ウロコのない魚は食べてはいけない” といった戒律から “ウロコの目立たない鰻” を食べることもタブー視されている
❿ 「天然鰻」と「養殖鰻」を見た目で判別するのは難しい
⓫ 2013 年時点で、シラスウナギ 1 匹にかかる養殖費用は 1000 円以上
⓬ 日本にごく少数だけ「鰻」という苗字の人が存在する
⓭ 日本のシラスウナギは半分以上が密漁や不法取引によるものだと指摘されている
日本一の「鹿児島県産うなぎ」を超激安で味わおう !
【鹿児島県 大崎町】
食材の宝庫、鹿児島県の【大崎町】。
中でも最も有名 & 人気なのが “鰻” です。
この、高級な大崎産の鰻たちを実質計 2,000 円という超破格値で味わってはみませんか ?
などと言うと詐欺まがいの商法と勘違いされるかもしれませんが、過去に利用したことのある方ならもうお分かりでしょう。
そう、「ふるさと納税」ってやつです。
この際役所お墨付きのオイシイ制度を目一杯活用してオイシイ鰻をガッツリ GET しちゃいましょう !
【ふるさと納税】の詳細
「ふるさと納税」とは形式的には “商品を購入” するのではなく “自治体に寄付をして返礼品を貰う” といった制度です。
実質支払額を計 2,000 円で済ませるためには個人個人で異なる “年間上限額” を超えてはならず、一例をあげれば《年収 300 万・独身・サラリーマン》の方なら年に 28,000 円 程度がその上限とされています。(下表参照)
その場合差額の 26,000 円 は 12 分割されて翌年の住民税から毎月差し引かれるといった形で戻ってきます。(ワンストップ特例申請の場合)
【上限額の目安】
【ワンストップ特例制度について】
「ふるさと納税」は “納税”といった言葉から、
『なんか手続きとか面倒くさそう…』
と、つい二の足を踏んでしまう方も多いようですが、ふだん確定申告などに縁のない会社勤めの方なら簡単な申請書を送付するのみ(ワンストップ特例申請)で OK 。
利用に若干の条件(寄付する自治体を 5 カ所内にしなくてはならない、等)はありますが、商品(返礼品)と一緒に送られてくる申請書に氏名や利用金額などを記載して身分証のコピーとあわせポストに投函するだけで完了です。(申請書記入例)
各自治体ごとの申請書送付先は以下サイト内ですぐに検索できて便利です。
(※ 郵送不要 オンライン申請のみで可能なものもあり)
〖さとふる〗
その他「ふるさと納税」初心者の方は以下で基本が学べます。
〖楽天 ふるさと納税 はじめての方へ〗
【ふるさと納税(鹿児島県大崎町)】 うなぎ の ご検討・お申込み に
お申し込みの際は十分にご確認をお願いいたします。
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