【はじめに】
日々多くの食品を扱う仕事柄、何かとよく目にする【モンドセレクション】の認証マーク。
お菓子のパッケージやお酒のラベルなど、商品の目立つ場所に輝く【金賞】だの【銀賞】だのといった、皆さんお馴染みであろうゴージャスなあのマークです。
が、有名ながらもイマイチその実態や現実をよくご存知ない方は多いのではないでしょうか ?
てなわけで、一体 どういう組織が運営しているのか、審査・賞・授賞式の中身はどういったものなのか、認証商品に価値や信頼性はどの程度あるのか、などなどを興味津々ちょいとばかし探ってみました。
はたしてどこまで商品購入の決め手になるのや否や…
とりあえず、“世界各地” の商品を対象としているにもかかわらず、授賞式に訪れるそのほとんどは “日本人” なんだそうです。
【モンドセレクション】とは
【モンドセレクション】とは、1961 年にヨーロッパのベルギーで設立された “一定品目の商品” を対象とする国際品評機関で、本部は首都ブリュッセルの郊外。
一応民間組織ながらも、設立にはベルギーの経済省や EC(ヨーロッパ共同体)なども関わった公的色の強い組織で、「食のオリンピック」だの「食のノーベル賞」だのとも呼ばれています。
審査は年に 1 回で、申請のあった商品に対し定められた項目(味覚・衛生・記載成分の正確性・原材料・消費者に対する情報提供 等)にそれぞれの点数が付けられ、その総合得点によって各々の賞が決定されるといった仕組み。
設立当初は数少なかった対象品目ですが、現在(2023 年時点)では化粧品や水道水など “食品系” 以外のものも幅広く取り扱われています。
【モンドセレクション】の長く培われた知識は、食品、蒸留酒、飲料、ダイエット、健康、化粧品、の認証をカバーしています。
審査は各カテゴリーを担当する 80 名以上の著名な専門家たちによってなされており、時間をかけて、製品を比較することなく、それぞれの製品を味わい、分析します。
すべての審査員は一流のプロとしての経験を持ち、完全に独立した立場で審査を行っています。モンドセレクション HP より抜粋
【モンドセレクション】の授賞式
【モンドセレクション】の授賞式は毎年 5 月末から 6 月初めにかけてヨーロッパの主要都市にて開催され、各商品につき 2 名の招待状が発せられるそうです。
さすがに【ノーベル賞】とは違って現地までの交通費は “自腹” とのことですが、これは世界一有名なレストランガイド【ミシュランガイド】に殿堂入りした場合も同様。
とりあえず、2019 年にローマでとり行われた授賞式の動画を下に貼り付けておきましたが、ご覧頂ければ何となく式典全体の雰囲気は掴めるのではないでしょうか。
【公式動画】2019年 モンドセレクション 授賞式(ローマ)
〖Monde Selection – Aftermovie – Annual Awards Ceremony Rome 2019〗
賞(認証)の種類 等
各賞 及び メダル について
【モンドセレクション】の賞は “上位○位まで” といった相対評価ではないため、一定の点数さえクリアできればもれなく該当する賞が与えられます。
極端に言えば、申請のあった全商品が “最高金賞受賞!” なんてこともありえるってことです。
主だった賞は【最高金賞】を含めた以下 4 種類で、各賞にはそれぞれメダルも贈呈されます。
※ 90 点以上
❷【優秀品質 金賞】(ゴールドメダル)
※ 80 点台
❸【優秀品質 銀賞】(シルバーメダル)
※ 70 点台
❹【優秀品質 銅賞】(ブロンズメダル)
※ 60 点台
なんだか「オリンピック」を思わせる雰囲気で、【銅メダル】であっても『ばんざーい‼』てな気分になってしまいそうですが、ほとんどの商品がいずれかの賞を獲得できているという事実を知ると、あまり喜ばしいことではないのかもしれません。
2017 年度を参考に言えば、全約 3000 商品中、約 2700 商品が【銅賞】以上を GET です。
(内【最高金賞】420 商品、【金賞】1368 商品 ⇨ 両者あわせて半分以上)
いくら相対評価ではないと言ってもさすがにこれはちょっと…
各トロフィーについて
何らかの賞を獲得すれば該当賞の “受賞マーク” を一定期間使用することが許されますが、例外として “【最高金賞】or【金賞】を 3 年連続して獲得した場合” には【“国際” 優秀品質賞】として【インターナショナル・ハイクオリティ・トロフィー】(下写真参照)なるものが与えられた上、特権として受賞マークの無期限使用が可能となります。(※ 受賞年度の表示を条件として)
ちなみに、日本で【モンドセレクション】の名が爆発的に知れ渡ったのは 2007 年のこと。
サントリーのハイクラスビール『ザ・プレミアム・モルツ』が 3 年連続で【最高金賞】を受賞し、大々的に宣伝を繰り広げたことがきっかけだと言われています。
《※ それ以前も、今ある「日清」とはまったくの別会社、「日清製菓」から発売されていた『バターココナツ』なるものが、1966 年から 3 年連続で金賞を受賞したことによってある程度その名は知られていました。
が、このお菓子、現「日清シスコ」から発売されている『ココナッツサブレ』とも混同されがちなちょいとヤヤコシイ商品。
てなわけで、気になる方は以下サイト様にてどうぞ 》
〖菓子問屋 あまのや繁田商店 ほっとらいん〗
〖Wikipedia 日清製菓〗
その他、“一定期間連続受賞(何の賞でも OK)した場合” にも以下のようなトロフィーが贈呈されます。
※ 40 年間 連続受賞
❷【25 周年記念トロフィー】(下写真参照)
※ 25 年間 連続受賞
❸【クリスタル・プレステージ・トロフィー】(下写真参照)
※ 10 年間 連続受賞
《2016 年に新設された【審査員賞】(審査員の満場一致により各カテゴリーから 1 商品のみ受賞)にもそれ専用のトロフィーが贈呈されます》
モンドセレクション HPより
賞(認証)の信頼性
元は完全非公開 & 不明確であった審査員の評価内容ですが、2018 年以降は各項目ごとに点数を記載する「評価シート」なるものが採用され、終了後にそれを公開することによって、現在ではそれまでの “うさん臭さ” はある程度払拭されています。
が…
『これでよしなに…』
と、古来より水面下でのコソコソ話が大好きな日本人…
受賞商品の多くが日本商品ってのはやはり気になります。
ちなみに「評価シート」の導入に至ったのは、前年の 2017 年にテレビ東京の〖ワールドビジネスサテライト(WBS)〗なる番組がその番組内で、
『90% 以上もが何らかの賞を獲得するってのはいくら何でも多すぎやしないか?』
…と審査委員長に直接疑問を投げかけたのがきっかけなんだそうな。
持論を述べながらも翌年に慌ててアクションを起こしたところがなお一層怪しげですが…
以下がその動画です。
【参考動画】 テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
〖モンドセレクションの裏事情〗
最後に
日本では【モンドセレクション】の受賞商品を、“王室御用達” と同レベルかのごとく “すーんごい価値ある商品” だと思い込んでいる人が多いようですが、一般的なイメージと現実とではかなりの温度差がありそうだってことは何となくお分かり頂けたのではないでしょうか。
申請の多くは日本企業、しかも地方企業や中小企業がそのほとんどらしく、どうやらその背景には…
といった方程式が潜んでいるようです。
さらには、会社名が広く知れ渡れば当然の帰結としてその他商品の売上げも大幅に UP ってことになりましょう。
そんなこんなで、申請さえすればこれといった商品でなくとも何らかの賞を GET できるチャンスが極めて高い【モンドセレクション】…
【最高金賞】や【金賞】ならまだしも、【銀賞】or【銅賞】の商品に対する過信はあまりなされない方がいいかもしれません。
食の本場、ヨーロッパの街中で『モンドセレクションをご存知?』と聞くと、ほとんどの人が『何それ?』と聞き返してくるというこの現実が、その権威なり信頼性なりを如実に物語っているのではないでしょうか。
てことで結論!
豪華絢爛キラキラマークは参考程度にとどめ、真の商品価値は自分自身の五感を駆使してしっかりと見定めましょう!
…とまあ、ワタクシ的には辛口の判決を下してしまった【モンドセレクション】ですが、あくまで独断と偏見をメインとした個人的見解ですのであしからずご了承を。
関係各位様の名誉回復もあわせ、最後にイメージ UP のための動画と、栄えある【最高金賞】or【金賞】を受賞した商品のいくつかを貼り付けておきます。
ごゆるりとご洗脳… あいや、ご鑑賞下さいませ。
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