【はじめに】
『床に窓⁉』
『天井に手すり⁉』
『ドア開ければ壁⁉』
映画化もされており、おそらくはアメリカ、いや、世界でもトップクラスの 奇妙 かつ パラレル な屋敷であろう【ウィンチェスター・ミステリーハウス】。
西部開拓時代以降(1800 年代半ば頃~)、画期的なライフル銃(ウィンチェスター銃)を開発・量産して巨万の富を得た「ウィンチェスター」社の 2 代目、《ウィリアム・ウィンチェスター》氏の夫人《サラ・ウィンチェスター》が夫の死後に建てた巨大な個人邸宅で、“幽霊屋敷” としてもその名が知られています。
が、この屋敷、着工から彼女が死亡するまでの約 36 年間、増築に次ぐ増築をひたすら繰り返し、24 時間 365 日、工事が中断されることは一切ありませんでした。
さらには通常の改築増築のみならず、建物内部のそこかしこに忍者屋敷さながらの奇妙な “仕掛け” や、見せかけのドアや階段などを作らせたりもしました。
いくらお金が有り余っているからとはいえ、静かに余生を送るだけの家に、なぜ巨費を投じてまでして多くの部屋や不可解な 迷路・トリック・ダミー などを作らせる必要があったのでしょうか。
てなわけで今回は、今や観光施設としても大人気の米カリフォルニア州にある巨大幽霊屋敷、【ウィンチェスター・ミステリーハウス】を、オスカー女優主演映画「ウィンチェスターハウス」ともあわせ詳しくご紹介。
超有名な建物なので海外旅行や映画がお好きな方ならすでにご存知かもしれませんね。
増築・迷路・仕掛け で有名な米ライフル王夫人の建てた巨大幽霊屋敷【ウィンチェスター・ミステリーハウス】
【ウィンチェスター・ミステリーハウス】ってどこにある ?
【ウィンチェスター・ミステリーハウス】誕生の背景とその歴史
西部劇がお好きな方やガンマニアの方ならば『ウィンチェスター』と聞けば真っ先に思い浮かぶのは、やはり “家” ではなく “銃” =「ウィンチェスター・ライフル」ではないでしょうか。
これは手元の簡単なレバー操作= “レバー・アクション” 一つで次の弾が素早く装填・射出できるといった画期的システムが採用されたもので、簡単に言えば『当時最強のライフル』てなとこでしょう。
ちなみに、レバーアクション機構そのものは《ウィンチェスター》氏ではなく、のち “リボルバー銃” で有名となる「スミス & ウェッソン」社を設立した 2 人(《ホーレス・スミス》氏と《ダニエル・ウェッソン》氏)の発明だとされています。
…てなとこですが、とりあえず本記事ではこれ以上 “銃器” うんぬんについての詳しい説明をする気はございませんので、「ウィンチェスター・ライフル」についてをさらにお知りになりたくば、コチラ〖Wikipedia〗ででもお願いしやす。
…で、当然その “強いライフル” は軍などを中心にバカ売れすることとなり、「ウィンチェスター」社は親子 2 代で巨万の富を築き上げ、そしてその 2 代目《ウィリアム・ウィンチェスター》氏の妻となったのが本記事の主役《サラ・ウィンチェスター》(下写真)てなわけです。
有り余る富の中、彼女の人生たるやさぞ幸せだったろうと思いきや、意外にもそうではありませんでした。
生後約 1 か月で愛娘を亡くし、その 15 年後には夫にも先立たれるなど災い続きだった彼女の精神状態は不安定極まりなく、やがては霊媒師にその救いを求めるまでにもなりました。
で、その霊媒師の言…
災いから逃れる方法はただ一つ。
ウィンチェスター銃で特に多くの犠牲者を出した西部へ引っ越し、怨霊を鎮めるためにその家を拡張し続け霊魂の居場所を作ってやるしかない。
…を真に受けた彼女はすぐさま現住居を売却し、西部カリフォルニア州のサンノゼへと引っ越し、そこである一軒の農家を購入しました。
これぞ【ウィンチェスター・ミステリーハウス】が誕生した瞬間です。
そして、その後は⦅悪霊が侵入しにくく出て行きやすい家づくり⦆をコンセプトに、ただひたすら増築に次ぐ増築を繰り返していくのみとなります。
建築計画も設計図面もなく、思いつくまま適当に継ぎ足していったそうなので迷路化するのは当然っちゃあ当然で、これに関しては今は無き香港の「九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)」=「クーロン城」も同じ。
不可解な怪奇現象と悪霊対策
で、その “悪霊” に関する真偽のほどですが、有名なマジシャン《ハリー・フーディーニ》(写真参照)が怪奇現象の謎を暴こうと意気揚々 1924 年に当ハウスを訪れたそうですが、逆に多くの謎を抱えこむハメになった、という話が残されており、このことが一つの判断材料になるやもしれません。
《ハリー・フーディーニ》は当時「不可能を可能にする男」と評価され、今でも「アメリカで最も有名な奇術師」と呼ばれ奇術師の代名詞的存在とされています。
根拠のほどは定かではありませんが、他サイト様の記事によれば、
- コンパスが狂う
- ボールが上に転がる
- ラジオが勝手に鳴り出す
などの怪現象なんかが実際にあるんだそうな。
で、悪霊対策としての代表的なパラレル設備は以下のようなものとも。
- 天井に突き当たる階段
- 床に設置された窓
- 手すりのある天井
- 開けたら壁のドア
- 2階某ドアの先は外=落下
- 扉の横にもうひとつの小さな扉
- 上がって降りるだけの階段
- ドアノブのないドア
- 床のない部屋
- 異常に細い廊下
とりあえず、作るものが何であれ、これら “終わりなき工事” を延々請け負い、長年にわたり高額な報酬を得続けることができた各種業者の人たちは “濡れ手に粟” でさぞやウハウハだったにちがいありません。
業者たちによる心理操作もある程度はあったのかもしれませんね。
てなわけで、あとは《サラ・ウィンチェスター》の出生から【ウィンチェスター・ミステリーハウス】が他人の手に渡るまでを時系列にてザッと記しておくとします。
ご参考まで。
海外旅行もしやすくなった今、下に貼り付けた HP よりサクッと予約して直接訪れるってのも悪くないのでは ?
海外サイトなのでスンナリ予約できるかどうかはアナタ次第でしょうが…(苦笑)
《サラ・ウィンチェスター》の出生から【ウィンチェスター・ミステリーハウス】が他者の手に渡るまで
ウィンチェスター・ミステリーハウス HP より
❶ 1839 年、のちの《サラ・ウィンチェスター》(上画像参照)、米コネチカット州ニューヘブンにて出生
❷ 1862 年(22 or 23 歳)、1 or 2 歳年上の「ウィンチェスター」社 2 代目、《ウィリアム・ウィンチェスター》氏(上画像参照)と結婚
❸ 1866 年(26 or 27 歳)、唯一の子(女)である《アニー・ウィンチェスター》が出生約 5 週間後にして死亡
❹ 1880 年(40 or 41 歳)、創業者たる夫の父《オリバー・ウィンチェスター》が死亡
➎ 1881 年(41 or 42 歳)、父の死の約 3 カ月後、その後を追うように夫《ウィリアム・ウィンチェスター》も結核にて死亡(享年 43 歳)
この時《サラ・ウィンチェスター》は約 2000 万ドル(現在の日本円で 400 億以上か)という莫大な財産と、会社株式の約 50% を相続したとされ、またそれとは別に、以後 1 日あたり約 1000 ドル(現在の日本円で 200 万以上か)の収入も得ていたとされています。
❻ 1885 年(45 or 46 歳)、霊媒師の言に従い自宅を売却してカリフォルニア州へ引っ越し
❼ 1886 年(46 or 47 歳)、サンノゼ市にて 2 階建ての農家を購入し、以後死ぬまで終わらぬ増築工事が開始される
❽ 1888 年(48 or 50 歳)、お気に入りの姪《マリオン “デイジー” メリマン》をハウスに迎える(以後 15 年間共に暮らすが 1903 年に結婚にて退去)
❾ 1890 ~ 1900 年(ほぼ 50 代時)、邸宅建築の全盛期でビクトリア様式の 7 階建てにまで成長
❿ 1906 年(66 or 67 歳)、「サンフランシスコ大地震」により大きな被害を受ける(上画像参照・7 階建てのタワーと 4 階の大部分がのち取り壊される)
⓫ 1922 年(82 or 83 歳)、睡眠中に心不全にて死亡し、36 年間延々続いた増築工事もようやく終止符が打たれ、ハウスの競売が開始される
⓬ 1923 年、落札者によって一般見学向けにハウスが公開される
なお、チケットのご購入やツアーのご予約など、観光向けの詳しい情報は以下「ウィンチェスター・ミステリーハウス HP」にて。
【ウィンチェスター・ミステリーハウス】の謎多き設備や間取り
現在屋敷で一番高いのは 4 階であるが、建物の基礎がやや浮動的な造りであったことが、二度に渡る大地震(1906 年のサンフランシスコ地震・1989 年のロマ・プリータ地震)でも完全に倒壊しなかった理由なのではないかと信じられている。
現在のハウスには 40 の寝室と 2 つの舞踏室を含む、約 160 の個室があり、また、47 個の暖炉と 1 万枚の窓ガラス、17 の煙突、2 つの地下室と 3 つのエレベーターが存在する。
一時期、ウィンチェスターハウスの面積は 65 万平方メートルにも上ったが、現在は屋敷と近接する離れが入る最小限の面積、2 万 4 千平方メートル程となっている。
屋敷内にはどこへも通じていない見せかけだけのドアや階段などが多数あり、また、エレベーターが取り付けられるまでは深刻な関節痛を患っていたサラのため、屋敷内のあらゆる部分へと行ける特別な装置なども取り付けられていた。
巨大なハウスの塗装には膨大な塗料が必要とされ、全ての区画が塗り終わる頃には次の塗り替えを始めなければならないほどであったという。
ハウス内は当時のハイテク技術が満載で、エレベーターの一つにはアメリカ合衆国で唯一の水圧式エレベーターが含まれており、近代的な暖房設備・室内トイレ・温水シャワー・押しボタン式のガス灯、などなど当時の建築物においては稀にしか見られない便利な設備が至る箇所に備えられた。
また、悪霊対策に執心していたことをうかがわせる独特なものも多く残されており、サラが幸運をもたらすと考えていた「数字の13」と「クモの巣」のモチーフは、屋敷中のあらゆる場所で見ることができる。
例えば、輸入物の高価なシャンデリアにはもともと 12 個のロウソク立てがあったが、その後 13 個のろうそくが立てられるよう作り変えられており、また、壁の衣服を掛けるフックの数も 13 の倍数とされ、あわせてクモの巣の模様なども施された。参考:Wikipedia
【参考動画】
〖Beyond the Ghost Stories of the Winchester Mystery House〗(英語版)
〖The UnXplained: Secrets of The Winchester Mystery House (Season 1) | History〗(英語版)
【映画紹介】
映画【ウィンチェスターハウス】は動画配信サービスの「U-NEXT」で現状(2023 年 5 月現在)無料にてご視聴いただけます。
【参考動画】
〖ヘレン・ミレンとジェイソン・クラーク、映画『ウィンチェスターハウス』を語る+映画予告〗(映画予告:2 分 15 秒後~)
【オススメ書籍】 事故物件怪談 恐い間取り ❶ ~ ❸
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