【はじめに】
九州に行けば、熊本に行けば、ぜひとも訪れて頂きたいオススメの温泉地が「黒川(くろかわ)温泉」です。(上写真)
緑豊かな山懐に抱かれ、周囲の自然に溶け込んだ約 30 件の純和風旅館と、それぞれに個性的な野趣溢れる露天風呂が魅力の温泉地です。
熊本では今や由布院温泉を凌ぐほどに人気の黒川温泉ですが、ほんの少し前までは客などほとんど来ない閑古鳥の鳴く寂れた湯治場でした。
そうした窮状に危機感を募らせ、立ち上がったのが黒川温泉にある一軒の旅館「新明館(しんめいかん)」の社長《後藤 哲也》氏。(下に参考動画あり)
そして、彼の熱き思いを引き継いだ各旅館の 2 世 3 世の若者たちが一致団結することによって、今ある黒川温泉が見事につくりあげられたのです。
この奇跡ともいえる大変身はつとに有名で、現在では日本全国の自治体が 町おこし・村おこし をするにあたっての模範例ともされています。
ガラリと生まれ変わった現在の黒川温泉は、果たしてどういった施策、どういった活動により人々の心をつかんだのでしょうか。
また、どのような旅館があって、どのような露天風呂が設けられているのでしょうか。
てなわけで今回は、お忍び、カップル、一人旅、などに最適な秘湯「黒川温泉」のご紹介です。
【参考資料】
〖黒川温泉 歴史物語〗(新明館 HP)
黒川温泉にある新明館社長の後藤哲也氏は、40 年かけてまちなみを再生させた。最初は自身の旅館に手を入れ、敷地内の杉林にツツジや雑木を栽植していった。その結果、杉木立を抜けると、「ふと景色が変わった」と意識される演出が実現された。そして氏は新明館の改革にとどまらず、温泉地域全体に取り組みの対象を拡大していったのである。
「新明館だけが栄えていても、結局、地域が栄えなければ 1 カ所だけにお客さんが来続けることはあり得ない。そこで他の旅館にも経営の本質を教えようとするが、最初は相手にされない。そのため最も宿泊客の少ない旅館から建て直し、そこにお客さんが増えると皆が注目するようになった。入湯手形も導入して、全体で楽しめる工夫を凝らすことによって、自治体の助成を受けずに自分たちで運営できるような資金も獲得していった」
朝日新聞社 2005(国立国会図書館デジタルコレクション より)
「黒川温泉」の旅館は一つだけ ⁉
〖黒川温泉一旅館〗
黒川温泉の “経営理念” とでも言うべきものを端的に表したものが上の言葉です。
これは、町並みやお店、各旅館を別個バラバラなものととらえるのではなく、すべてひっくるめて “一つの旅館” だとする黒川温泉ならではの一貫したコンセプト。
他の旅館を “競争相手” と見るのではなく、すべての旅館は【黒川温泉】という一つの大きな旅館の “離れ” であり、旅館と旅館を結ぶ小径はその “渡り廊下” だとする、いわば “はやるも廃るもみな一蓮托生” といった考え方です。
その初心がブレずに維持され続けてきたことによって、今ある共存共栄の黒川温泉が築き上げられました。
2016年の 2 度に渡る熊本地震でも被害は少なく、ほとんどの旅館は震災 1 カ月後にはほぼ通常営業に戻ったそうで、またアクセスが不便となっていた 熊本ー阿蘇 経由のルートも現在は完全復旧しています。
巣ごもり生活から解放され旅行もしやすくなった今、まだ訪れたことのない方は、この機会にぜひとも黒川温泉を選択肢の一つとして旅のご検討などされてみてはいかがでしょうか ?
アクセス他、各旅館や露天風呂の詳細など、黒川温泉についてのほとんどのことは以下公式サイトにて網羅されております。
このサイトからも、訪れる人々を大切にするその心が十分に感じ取れるかと思います。
黒川温泉名物【入湯手形】については必見 !
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