伝説の孤独鯨｜周波数52hzの鳴声⁉本や映画で有名な超高音で歌う謎の鯨とは

【はじめに】

みなさんは “世界一孤独なクジラ” との異名を持つ、この世に１頭だけしかいないらしい謎に満ちたクジラをご存じでしょうか？

作家《町田そのこ》著の小説、【52 ヘルツのクジラたち】をお読みになられた方にはもはや聞くまでもありませんね。

タイトルのまんま、「52 ヘルツのクジラ」なるクジラがそれで、架空のものではなく、実際に存在しているとされる正体不明のクジラです。

“心の叫び声が誰にも届かぬ虐待児童” と “どんなに大きな声で鳴いても仲間に全く声の届かぬ孤独なクジラ” とを掛け合わせたその小説は、〚2021 年本屋大賞〛の第１位を受賞したことでも話題となり、2024 年には同名タイトルで映画化もされました。（下画像）

このクジラ、その声が最初に確認されたのはもう 30 年以上も昔のことで、海洋学者や生物学者など一部の方にとっては有名なクジラですが、一般の方であれば、上記小説・映画をご覧になられてなければあまりご存じないのではないでしょうか。

自殺や孤独死が激増している今の世の中、ご家庭で、学校で、職場で、表向きは強く明るく元気に振舞いながらも、心の奥底では辛さ・淋しさ・悲しさなどで泣き叫んでいる人はことのほか多いのではと思われます。

そうした方は、映画の主人公同様（すぐ下【参考動画】参照）、この「52 ヘルツのクジラ」の存在を知り、その歌声に耳を澄ませば多少なりとも心安らげるかもしれません。

てなわけで今回は、仲間たちの誰ともコミュニケーションを取れず、広大な大海原の中で何十年もの間たったの一人ぼっちで生きてきたとされる謎多き孤独なクジラ、「52 ヘルツのクジラ」を、小説や映画ともあわせご紹介。

このクジラの存在と歌声が、傷んだ心、軋んだ心のささやかな潤滑剤ともなれば幸いです。

なお、すぐ下に貼ったチェック記事【超眠くなる動画５選！…】のひとつにも、このクジラの声が一部収録されていますので眠れぬ時などにはぜひ★

【参考動画】（ギャガ公式）

〖『52 ヘルツのクジラたち』本編映像＿クジラの鳴き声〗
（※ 当映像内の鳴き声が実際に録音された “本物” なのかどうかは未確認です）

約 2 分半

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【目次】

【52 ヘルツのクジラ】鳴き声のみで正体不明！未だ解明されぬ謎多き “世界一孤独なクジラ” を垣間見る★
【52 ヘルツのクジラたち】が観れる VOD は U-NEXT だけ！しかも “無料” で観れる★
1. 〖予告編〗＜U-NEXT で独占配信中＞
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【52 ヘルツのクジラたち】 DVD・Blu-ray のご検討・ご購入に
1. 【52 ヘルツのクジラたち】本編紹介映像（ギャガ公式）
【52 ヘルツのクジラたち】小説のご検討・ご購入に
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“52 ヘルツ” の声って実際どんな声？

“ヘルツ” って何？ “周波数” って何？

“「52 ヘルツのクジラ」の声” を簡単に言ってしまえば、“これまでに観測されているどのクジラの声よりも遥かに高い音域の声” となります。

“ヘルツ” ってのは “周波数の高い低いを表す単位” のことですが、じゃその「周波数」とはなんぞや、って話になるんですが、これは “音” だけでなく “光” や “電源” など、工学分野さまざまにおいての波動や振動を表す超 BIG なワードなので、簡単一口には説明できません。

なので、詳しくお知りになりたい方はコチラ〖周波数／Wikipedia〗ででもどうぞ。

“音の周波数” に関してのみ言えば、数値が大きければ大きいほど “高音” ってことになります。

ちなみに、“コレとの混血か⁇” とも言われている「シロナガスクジラ」の鳴き声の基本周波数は８～ 25 ヘルツだとされています。

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クジラ三種鳴き声比べ

とりあえず、“具体的にどんな鳴き声か” は、文章でどうこう書くより直接聞いてもらった方が手っ取り早いと思いますので、下に実際の声を録音したものを貼り付けておきました。

一応比較対象用として、“「52 ヘルツのクジラ」ともっとも似た回遊パターンを持つ” と言われている地球上最大（過去の恐竜もすべて含めて）の動物「シロナガスクジラ」の鳴き声、＆、お歌大好き、複雑な歌を長時間歌い続けるとして知られ、ボイジャー１号２号のゴールデンレコードに収録されていることでも有名な「ザトウクジラ」の鳴き声（歌声）、も一緒に貼り付けておきましたので、ぜひ聞き比べてみて下さい。

が、「ザトウクジラ」は “歌” というより “魔物の叫び” のようでちょっと怖いカモ…

再生の際は音量注意です。
（一部イラスト／鳴き声：Wikipedia より）

“52 ヘルツの音” が最初に発見されたきっかけは？　

「52 ヘルツのクジラ」だとされる “52 ヘルツの音” が最初に発見されたきっかけは米ソ冷戦。
冷戦終結寸前の 1989 年、アメリカが旧ソ連の潜水艦を探知すべく、太平洋で極秘裏に運用していた水中探査システム（SOSUS ➔ 海底のハイドロフォンネットワーク）にて正体不明の周波数 “52 ヘルツの音” を検知。
が、この時点ではまだ機密扱いであり、また音源が “クジラの声” だってことも分かっていなかった。

冷戦終結後はどうなった？

冷戦終結後の 1992 年、米国防省は上記水中探査システムを一般の海洋研究者たちも使えるよう開放し、これまでの一部観測データも機密解除。
このデータに、米「ウッズ・ホール海洋研究所」の “海洋哺乳類の識別・追跡の先駆者” であった《ウィリアム・ワトキンス》氏が大いに興味を示し、“音紋” などさまざまな方面から分析した結果、特異ながらも “クジラの声” だと決定付けた。
また、同氏は 2004 年、〚上記水中探査システムが個々のクジラを追跡できる可能性〛についての論文を発表し、それをきっかけに「52 ヘルツのクジラ」も世間一般に認識され、大きな関心が寄せられることとなった。

その後の観測状況は？

1989 年以降、定期的に検出され続けてきた “52 ヘルツの音” は 2014 年以降は毎年観測されるようになり、現在では録音されたその鳴き声が動画などで誰でも聞けるようになった。
が、毎年 8 ～ 12 月頃には太平洋で同じ声が観測されるものの、１～２月頃には観測可能域から外れてしまい、いまだその正体は目撃されたことはなく、カメラに捉えられたこともない。
泳ぐ距離もまちまちのようだが、１シーズンに１万 km 以上泳いだとの記録も残されている。
なお、1992 年以降、その声はわずかに低くなったとされており、成長に伴うものであろうと推測されている。

なぜ孤独だとされる？

これまでにさまざまな場所で観測されてきた “52 ヘルツの声” は、あらゆるデータから同じ個体のものであることに間違いはなく、“その他の 52 ヘルツの声” は未だ観測されてはいない。
そして、現在わかっている他のすべてのクジラは、それよりも遥かに低い周波数で鳴くため、“52 ヘルツの声” は彼らの耳にはまったく聞こえないはずだともされている。
クジラは鳴き声・歌声で仲間への意思伝達や愛情表現をし、コミュニケーションを図るとされるが、実際「52 ヘルツのクジラ」の鳴き声・歌声に応答するような声のデータは過去一切なく、結果、これまで 30 年以上ずっと孤独に生きてきたであろうと推測されている。

想定されるその正体は？

2024 年現在、「52 ヘルツのクジラ」の正体は未だ謎に包まれており、『未知なる新種の最後の１頭？』『突然変異の奇形？』など各方面で様々な憶測を呼んでいるが、米「ウッズ・ホール海洋研究所」では『シロナガスクジラと他の種のクジラとの混血ではないか？』との推定をしているようである。

【参考情報】（Wikipedia「クジラの歌」より抜粋）

大部分のヒゲクジラ（〖ヒゲクジラ類／Wikipedia〗）は、およそ 15－20ヘルツの声を出す。しかしウッズホール海洋研究所の海洋生物学者たちは、『ニューサイエンティスト New Scientist』誌 2004 年 12 月号に寄稿して、彼らが北太平洋で 12 年間にわたり一頭のクジラを追跡調査して来たことを述べ、このクジラが、52 ヘルツで「歌っていた」ことを報告している。科学者たちは目下、標準周波数からのこの劇的なズレを説明することができない。とはいえ科学者たちは、このクジラは間違いなくヒゲクジラであり、新種のクジラである可能性はまずないと考えている。