マグロ漁船は過酷？仕事内容や年収は？女も可？借金返済で乗せられる？

【はじめに】

何かと厳しい漁師の世界。

その中でも “別格に過酷” として有名なのが【遠洋マグロ漁船】の漁師です。

以下は、若かりし頃に『商品開発のためマグロの勉強してこい！』との上司命令を受け、不本意にも【マグロ漁船】に乗せられてしまったというまったくの素人が、近年に数社の取材で明らかにしたその当時の実態等を一部抜粋したもの。
（すべてを読まれたくば、下【参考記事１】【参考記事２】にて）

17 時間労働で 5 時間睡眠
大型トレーラーにぶつかられたかのような爆音と衝撃の巨大な波
43 日の航海中で吐かなかったのは 3 日だけ
プライベート空間は棺桶なみ
寝ていた場所は道路工事以上の騒音　etc

漁の真っただ中においてはまともな「休日」などもおそらくはなかったのでは。

が、彼が乗船させられたのは 20 年も昔の話らしく、船内環境や賃金形態など、その当時と今とでは何かと変わっていることも多いはず。

【参考記事１】
〖船酔い地獄のマグロ船から生還するため、死ぬ気で食べ抜いた43日間【極限メシ】〗

【参考記事２】
〖43日間マグロ漁船に乗った男が悟った｢4つの真理｣〗

また、よく耳にする、

『【マグロ漁船】＝稼げる＝借金のカタに乗せられる』

といった噂の真相も気になるところ。

てなわけで今回は、悪名高き【マグロ漁船】の現状や実態を、漁師たちの収入などとも併せ詳しくご紹介。

ちなみに、【マグロ漁船】と一口に言っても 近海と遠洋のちがい や 拘束期間の長短（１か月程度もありゃ１年以上もあり）、漁法の種類（主に一本釣り・延縄（はえなわ）・巻き網の三種）、などいろいろあって画一的にどうこうは言えませんが、本記事では “最も過酷” とされる【遠洋延縄マグロ漁船】に主眼を置き記しております点、予めご了承下さい。

今や伝説昭和日本の有名な船宗谷　南極観測船以外の凄い歴史や活躍とは

日本の初代南極観測船として有名な「宗谷」。戦前より、商船、海軍特務艦、復員船、引揚船、灯台補給船、とそれ以外の活躍も多数あり、数々の修羅場を潜り抜けた奇跡の船としても有名です。今回は昭和日本を代表する船「宗谷」の南極観測船以外の顔をご紹介。

過酷な勤務地と生活実態　観音埼に始まり女島に終わった日本の灯台守

人の寄り付かない険しい島や岬の先端などで船の安全を見守り続ける灯台。それを住み込みで保全管理する人々が灯台守です。過酷な自然と孤独な環境を余儀なくされ、適応できずに発狂死する者も。今回は灯台の起源や歴史と併せ、今は無き日本の灯台守についてもご紹介。

監禁暴行虐殺を実態としたタコ部屋労働の恐怖　現場からは人柱の骨も

明治以降北海道開拓を主に存在したタコ部屋労働。海のタコ部屋たる蟹工船とともに死者続出の過酷な労働環境が明らかとなり当時の日本を震撼させました。噂の人柱もトンネルの壁奥から人骨が発見され現実に。悪名高きタコ部屋労働とははたして何だったのか！

【目次】

これぞ現実！日本の “遠洋延縄マグロ漁”　
目指せ！マグロ漁師！女性も可能 ⁇
1. 【オススメ動画】
  1. 〖追跡！ニッポンのマグロ〗
お宝映画 ⁇
【ふるさと納税】高級マグロを格安 GET！
1. 【ふるさと納税】のご検討・お申込みに
  1. 【天然本マグロ】
  2. 【天然南マグロ】
2. 冷凍マグロの上手な解凍方法（動画）
【レシピ動画】まぐろ料理オススメ４選
【オススメ記事】

これぞ現実！日本の “遠洋延縄マグロ漁”　

「延縄漁」ってどんな漁？

「延縄漁」とはその名のごとく、“縄を長～く延ばして行う漁” のことで、大型のマグロ漁では最も一般的な漁法と言えましょう。
単純な仕掛けですが、文章で説明するより図を見て頂いた方が分かりやすいかと思います。
遠洋におけるマグロ漁では「幹縄」の長さは 100 ～ 150㎞ にもなり、それにぶら下がる釣針の付いた「枝縄」は 2000 ～ 3000 本にもなるんだそうです。

マグロ延縄漁業は、江戸期の延享年間（1744 ～ 1748 年）に房総半島の布良村（現千葉県館山市）で始まった日本の伝統漁法です。
日本の刺身市場に輸出することを目的として、マグロ延縄漁業はアジアの国を中心とする外国にも広がり、いまや国際漁業となっています。
マグロ延縄漁は 1 日 1 回、年間 250 ～ 270 回くらい操業します。
枝縄の間隔はおよそ 50 メートルで、餌は水深 100 メートルから 350 メートルくらいの間に設置されます。

一般社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構（OPRT） HP より

【遠洋マグロ延縄漁】の一日の流れ

出港後、漁場に着くまでの数日間は比較的のんびりした雰囲気で過ごせるようですが、ひとたび漁が始まってからは激変。

以後は以下のごときスーパーハードな毎日…

❶　午前 6 時頃から正午頃まで延々 6 ～ 7 時間かけて仕掛を流す。（投縄＝とうなわ）

❷　マグロを待ちつつ 2 ～ 3 時間ほど仮眠。

❸　午後 3 時頃から夜中 3 時頃まで延々 12 ～ 13時間かけて仕掛を回収する。（揚縄＝あげなわ）

❹　食事や入浴など必要なことを済ませ、午前 6 時頃まで 2 ～ 3 時間仮眠。

…てな感じがひたすら繰り返されるらしく、初仕事を終えた、下【オススメ動画】にご登場のルーキー君曰く、

『今まで経験した仕事の中でダントツにキツいっス… 地獄でした…』

…はけっして大げさなものではないはず。

最も危険の伴う “揚縄（仕掛の回収）” においては、肉体の酷使だけでなく、神経をも十数時間ずっと張り詰めていなければならないそうで、こりゃいくら高給でも並みの人間に勤まるものではありません。

引き上げられたサメの攻撃やエイの毒で命を落とすこともあるらしく、まさに命懸けとも言える仕事です。

マグロの種類と特徴

マグロの種類は主に 5 種類。

“高級マグロ” の代名詞である「クロマグロ」「ミナミマグロ」と、スーパー用・缶詰用など主に “大衆向けマグロ” として大量消費される「メバチマグロ」「キハダマグロ」「ビンナガマグロ」がそれです。

下の分布をご覧頂ければ分かるように、「ミナミマグロ」については日本から遥か彼方の南洋にしか生息しておらず、このマグロを手に入れたくば、長期に渡る船上生活と荒れ狂う海での過酷な激闘に挑む以外方法はありません。

命懸けで獲ったその高級マグロは当然に買取単価も高く、数千本の針にほんの僅か掛かっただけでも儲けが出るんだとか。

もちろん獲れた直後の シメ ⇨ 内臓取り ⇨ 血抜き ⇨ 急速冷凍 などマグロの品質を落とさぬための迅速な処理がなされた上で、であるのは言うまでもありません。

各マグロの生息エリア

クロマグロ（本マグロ）

大西洋、地中海、日本近海で獲れ、日本では昔から親しまれてきた。また、「本マグロ」とも呼ばれている。
生まれた時の体長はわずか 3mm にも満たない大きさながら、10 年後には 2m を超えると推定される。

ミナミマグロ（インドマグロ）

オーストラリア、ニュージーランド、ミナミアフリカ（ケープタウン）沖の低水温の海域で獲れる。脂が乗っていることから高級マグロとして寿司屋、料亭で良く使われている。また、「インドマグロ」とも呼ばれている。

メバチマグロ

赤道をはさんで南北の緯度約 35 度にわたる広い範囲で獲れる。漁獲量の一番多いマグロで、目の玉が大きくぱっちりしていることからこの名がついた。

キハダマグロ

「メバチマグロ」とほぼ同じ漁場で獲れる。体型がスマートなのが特徴で、赤身のあっさりした味わいが楽しめる。肌が黄色いことからこの名がついた。

ビンナガマグロ（トンボマグロ）

世界中の海に広く分布し、大回遊する小型のマグロ。長い刀状の胸びれが特徴で油漬の缶詰の原料になる。また、「トンボマグロ」などとも呼ばれている。

OPRT HP より

マグロの大きさ比較図

【転覆寸前⁉ の “ヤバ波” 参考動画】

〖荒波を乗り越えて、我らが第七十八合栄丸は今日も行く!〗

約２分

「借金のカタに乗せられる」ってホント？

おそらく皆さんが最も知りたいであろう『借金のカタに乗せられる』ってやつですが、いろいろ調べた結果、やはりこれは信憑性疑わしく、その真相は、どうやら何らの確証もない “都市伝説” だと言えそうです。

ま、普通に考えたらそうでしょう。

体力も知識も技術もない素人が “無理やり”【マグロ漁船】に乗せられてもゲーゲー吐くだけで何の役にも立たず、漁船側からすればそんな人間を引き取った（買い取った？）ところで邪魔なだけです。

また今は漁師界を取り巻く “法” も何かと整備されており、そっち方面の大きなリスクをも伴うことになるため、もはや雇う側にはデメリット以外の何もありません。

体力に自信のある人が借金返済のため “自分の意思” で乗り込むケースは多々あるかと思いますが…

“高給＆逃げられぬ環境” といった背景に加え、ドラマや漫画などでそうしたシーンが数多く描かれてきたこともあって、歪んだ事実が広く拡散されてしまっただけ、てのが真実ではないでしょうか。

…が、以上はあくまである時期以降の【マグロ漁船】の話で、漁船も漁師もワンサカで、法整備もろくになされていなかった時代については何とも言えません。

とりあえず 30 年前 の話であれば、“元マグロ漁船員” だとおっしゃる方が当時の様子を以下動画で語ってらっしゃいますので、気になる方はご覧あれ。

ちなみに、その “元ヤン風元漁船員” さんが動画の中で語っている恐ろしい話をひとつ…

〘どこぞの漁師がうっかり海へ落ちたその直後、巨大な黒い影（シャチ）が近づいて来たかと思うと、海面に漂うその彼をポーンと上空へ放り飛ばし、落ちてきたところをバクリ！〙

なんてこともあったとかなかったとか…

コワすぎ…

【参考動画】

〖【都市伝説の定番・マグロ漁船の真実】借金の返済で乗る人はいるのか？給料は？船の中の生活は？〗

約 19 分半

【オススメ書籍】

【マグロ漁船】の関連本を探っていたら、たまたま上動画の “元マグロ漁船員” さん（ご登場名＝《せー》さん）が書かれたのでは、と思われる本を発見しました。
“試し読み” したところ何だか面白そうなので、こちらもついでにご紹介しておきます。
さらに下、動画配信サービスの【U-NEXT】では無料入会時のポイントを使えば 150 円で読めちゃうのでそちらもオススメです。（2023 年 7 月末時点）

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【マグロ漁師】の懐事情　貯金ガンガン⁉ 三度の航海で家が建つ⁉

『借金のカタに…』の次に気になるのは、やはり “高額” だと噂される彼らの収入でしょう。

確かに今でも “悪くない収入” ではあるようですが、これについては何十年も前の “マグロ漁黄金期” と現在とではかなりの隔たりがあるようです。

関係者の話では、昔は下っ端でも一度の漁で 1000 万円以上手にすることが可能だったらしく、

『三度の航海で家が建つ』

などと言われていた時代もあったそうですが、今はそれは夢物語。

その背景をいくつか上げれば…

マグロそのものが昔ほど取れない。
世界各地でマグロ漁が行われるようになり “輸入モノ” との競合関係が発生。
養殖技術の発展に伴い、安い “養殖マグロ” が多く出回るようになったため “天然モノ” の市場が大きく狭まった。
（上の２と同様、買ってもらうには価格を下げざるを得なくなった）
外国人船員（インドネシアなど主に東南アジア系）を多く採用できるようになったことから、雇用の確保が容易になった。

などなど。

とはいえ、世間一般の水準からはまだまだお高い彼らの収入。

で、その金額はというと、就労先・役職・資格・経験年数などによる違いに加え、その時々の漁の成果なども関係してくるため一概にどうこう言うのは難しいですが、おおよそ以下に記したものが一般的な年収のようです。

マグロ漁師の現在の年収相場（遠洋延縄漁船）

【マグロ漁師】の出世コースは、通常新人の「員級 B」に始まり、経験を積んだり資格を取ったりしながら「員級 A」「機関士」「航海士」などにステップアップしていき、最終的には “航海” の総責任者たる「船長」や “漁” の総責任者たる「漁労長」となるのが一般的なようです。

当然昇格すればするほど収入も UP します。

で、主だった方々の年収はというと…

員級 B ⇨ 約 400万円
員級 A ⇨ 約 500 万円
一等航海士 ⇨ 約 600 万円
船長 ⇨ 約 800 万円
漁労長 ⇨ 1000 万円以上

…てのが大まかな相場のようですが、詳しくは以下サイトにてご確認あれ。

〖日本かつお・まぐろ漁業協同組合 HP〗

「船長」より「漁労長」の方がエライの？

イマイチ分かりにくい「船長」と「漁労長」の上下関係ですが、これについては、「高知工科大学マネジメント学部」《大森俊之》氏の研究レポートに記された一文が大いに参考になるかと思われますので、以下に転載しておきます。

【マグロ漁船の組織構造】

マグロ漁船には 22 人から 26 人の人間が乗っているが、船舶職員法の規定により「船長」・「一等航海士」・「二等航海士」・「一等機関士」・「二等機関士」・「無線通信士」・「衛生管理者」の 7 人がいないと船を動かすことすらできない。
この 7 人はそれぞれ免許や資格が必要になる。
甲板での作業をする「甲板員」と、甲板員をまとめ上げる「甲板長」には免許や資格が必要ない代わりに立場は低めになっている。
しかし、免許や資格を持たなくても立場が上の船員が居る。
それが「漁労長」と呼ばれる役職である。
漁労長はマグロ漁業において操業に関する一切の責任を負っている。
漁労長はどこで漁をするのか、いつまで漁をするのか、漁場における操船の指示、など漁に関するあらゆることを決める権限を持っている。
その一方で航海に関する一切の責任を負うのは船長の仕事である。
例えば、海難事故や暴力事件があった時に港で諸手続きをするのは船長であり、漁労長は全く関知しない。
前述のように免許や資格を持っている分だけ漁労長よりも船長の方が立場は上である。
しかし、船員たちに『親分』と呼ばれ慕われるのは漁労長の方であり、船長よりも漁労長の方が多く給料をもらえることからマグロ漁船での扱いは漁労長の方が上になっている。
漁労長には様々な能力が必要とされるが、漁場を選ぶことと人をまとめることが最も大きな要素である。

マグロ漁船の持ち主は「船主」と呼ばれる。
船主には、漁労長と契約して船という財産と船員たちの命を預けるタイプと、船乗りが自ら船を買って漁労長兼船主になるタイプの 2 つがある。
船主が漁労長と契約する場合には、自分の船で成長した船乗りを漁労長に指名するパターンと、他船の漁労長を引き抜いて契約するパターンの 2 つがある。

室戸地区のマグロ漁船における漁労長のライフヒストリー研究（PDF） より

【参考動画】日テレ NEWS

〖【実態】新卒で遠洋漁業の漁師に！　急増の背景に年収と生活苦も…〗

約４分

目指せ！マグロ漁師！女性も可能 ⁇

さて、ここまでお読みになられ、純粋に “職業” として【マグロ漁船】に興味を持たれた方。

とりあえず需要はそれなりにあるようなので、貼り付けた動画などもご参考とされ、もし『自分にもできそうだ！やってみたい！』と思われたならば、以下【漁師.jp】（一般社団法人全国漁業就業者確保育成センター）の求人情報コーナーにてご検討されてみてはいかがでしょうか？

船上ではほとんど生活費はかからないため、ヤル気と体力さえありゃ貯金はガッツリできそうですよ。

もちろん借金の返済も。

漁師.jp

日本の漁師の世界では、戦前頃まで “女人禁制” の風習が根強くあり、［女性は漁船に乗せてはならない者］とされていました。
なぜなら、船の御神体は “女性” であるとされていたため、女を船に乗せると嫉妬して魚を授けて下さらない、との伝説が長きに渡って受け継がれてきたからです。
が、それも今や昔。
法律の整備や漁船の動力化・ハイテク化なども背景に、現在では多くの求人が “男女不問” となっているようです。
とはいえ、体力に自信ある男でもヘロヘロになる【マグロ漁船】の仕事で、しかも “遠洋” となると実際採用にまで至るのか…
履歴書の写真には、筋肉ムキムキの全身写真で、なおかつファイティングポーズをきめたようなものを使われた方がいいかもしれません。

なお、下の【オススメ動画】は、マグロのアレコレとともに、危険な海の上で長期の操業を余儀なくされる【遠洋マグロ延縄漁船】の過酷な世界がよく分かる貴重な映像です。

我々が平和な食卓で極上のマグロに舌鼓を打てるのは、まさにそれに乗り込む命をも懸けた漁師たちあってこそ。

【マグロ漁船】への興味云々とは別に、一人の日本人として彼らへの感謝の気持ちを胸にぜひ見て頂きたい動画です。

【オススメ動画】

〖追跡！ニッポンのマグロ〗

約 47 分

お宝映画 ⁇

“日本の遠洋マグロ漁” に関する映画を探し求めたところ、この【怒涛一万浬】以外見つけることはできませんでした。
そしてこの作品、主だった動画配信サービスでの提供は現状なさそうで、YouTube での映画予告すらもなさそうな雰囲気。
…なので、かなりお宝的な作品なのかも。
2023 年 7 月現在、DVD なら入手可能のようですので、当映画をご覧になられてみたい方はお早めに GET されるのがよろしいかもしれません。
ただ、個人的には見たことございませんので、面白いかどうかの保証は致しかねますが…

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