【はじめに】
時は戦後…
1964 年、東京オリンピック…
“東洋の魔女” と世界中から恐れられた “全日本女子バレーボールチーム” が圧倒的な強さで勝ち続け、最後の決勝戦では強豪ソ連チームをも打ち負かし、見事金メダルをその手に収めました。
この時の優勝決定戦は、国内のスポーツ中継としては過去最高の視聴率をマークしているらしく、ある以上の世代の方ではいまだ彼女たちの勇姿が目に焼き付いている方も多いのではないでしょうか。
…が、本記事はバレーボールやオリンピックのお話ではありません。
東京五輪では惜しくも “東洋の魔女” に敗れたソ連でしたが、その一昔前、そのソ連にも “夜の魔女(ナイトウィッチ)” と呼ばれ、恐れられた、ある “女性チーム” が存在したのをみなさんはご存じでしょうか?
世界的な知名度はイマイチかもしれませんが、第二次大戦において、対ソ戦(バルバロッサ作戦)に従軍した元ドイツ兵の方がもしまだご存命であるならば、その名を聞けばきっと今でも心乱されるはず。
てなわけで今回は、第二次世界大戦末期、侵攻してきたドイツ軍を蹴散らすべく、旧ソ連の若い女性兵士だけで編成された闇夜の静かな爆撃隊、【第 588 夜間爆撃連隊(のち【第 46 親衛夜間爆撃航空連隊】に改称)】をご紹介。
なお、“夜の魔女(ナイトウィッチ)” とはソ連側が付けた呼び名ではなく、真っ暗な中でエンジンを切り、“魔女のほうき” を連想させるかのような不気味な風切り音のみで静かに襲い来ることから、いつしか畏怖の念を抱くドイツ兵たちによってそう呼ばれるようになったものです。
夜の魔女(ナイトウィッチ)の一部面々
- 闇夜に紛れ 静かに滑空 爆弾投下! ドイツ兵に極限の 恐怖・睡眠不足・疲労 を与えた旧ソ連【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】
- 【余談】 女性初の “ソビエト連邦英雄” トリオ
- 【おまけ動画】 現代版「ポリカールポフ Po-2」&「メッサーシュミット Bf109」&「フォッケウルフ Fw190」
- 【独ソ戦オススメ映画】「スターリングラード」
- 【独ソ戦オススメ書籍】 「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」
- 【オススメ戦闘機ゲーム / PS4】 「エースコンバット7」
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闇夜に紛れ 静かに滑空 爆弾投下! ドイツ兵に極限の 恐怖・睡眠不足・疲労 を与えた旧ソ連【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】
【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】誕生の背景経緯
❶ 1939 年 8 月、第二次世界大戦突入に先立ち、ドイツ《ヒトラー》とソ連《スターリン》の間でお互いの国に侵攻しない取り決め「独ソ不可侵条約(〖Wikipedia〗)」が締結。
❷ 1939 年 9 月、ドイツがポーランドに侵攻し、ポーランドと同盟国にあったイギリス・フランスがドイツに宣戦布告して第二次世界大戦が勃発。
❸ 1941 年 6 月、ドイツ《ヒトラー》は上「独ソ不可侵条約」を一方的に破棄してソ連に侵攻、残虐の限りを尽くしながら首都モスクワに向け破竹の勢いで突き進む。=「バルバロッサ作戦(〖Wikipedia〗)」
❹ 同年秋、ソ連の有名な女性飛行士《マリーナ・ラスコーヴァ(〖Wikipedia〗)/ 最終階級:空軍中佐》が、女性の参戦志願者から多くの “前線勤務を希望する手紙” が寄せられていたことなども背景に、女性兵士の募集、および、女性航空隊の組織化を《スターリン》に提案。
❺ 1942 年 5 月、上《マリーナ・ラスコーヴァ》が筆頭となり、全隊員が若い女性ばかり(十代後半~二十代半ば / 計 115 人)の【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】が発足、《エヴドキヤ・ベルシャンスカヤ(〖Wikipedia〗)》少佐がその指揮官となる。
圧倒的性能差! “夜の魔女” たちの使用機体は最新鋭ドイツ戦闘機とは比にならぬ “木” と “布” でできた旧型練習機「ポリカールポフ Po-2」
えー…
とりあえずは、上3枚の写真を見比べて頂きたい。
もはや細かなスペックなど記さなくとも、外観だけで【写真1】の飛行機と【写真2】・【写真3】の飛行機の圧倒的な性能差は見て取れるのではないでしょうか。
(※ 各機種の細かな情報をお知りになりたくば、写真下の “機種名” のクリックで Wikipedia にジャンプできます)
ナチスドイツの誇る第二次大戦時の主力戦闘機、「メッサーシュミット Bf109」(【写真2】)&「フォッケウルフ Fw190」(【写真3】)には、イギリスの名戦闘機「スピットファイア」をもってしても開戦当初は全く太刀打ちできなかったと言われています。
ましてや、技術も性能も大きく遅れを取っていたソ連機との空中戦などは、ドイツの両戦闘機からすれば赤子の手をひねるようなもの。
たった1機のドイツ軍戦闘機に何十機ものソ連軍戦闘機が撃墜されたそうです。
【参考記事 / Wikipedia】
ドイツ空軍の戦闘機はプロペラ・エンジン自動制御ユニットを搭載し、燃料と空気の混合や冷却水及び潤滑油の温度、過給機とプロペラの回転速度を自動的に調節できた。
搭乗員は空戦機動に専念することが可能であり、調整を手動で行うしかないソ連空軍の戦闘機隊に対しドイツ空軍は大きなアドバンテージを持っていた。
(⇧)わかりやすく言えば、ヘアピンカーブ連続の険しい山道で “熟練ドライバーの操るオートマ車(ドイツ側)” と “ペーパードライバーの操るミッション車(ソ連側)” がレースするようなものです。
後者に勝ち目はありません。
で、本記事の主役、【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】にあてがわれた機体「ポリカールポフ Po-2」(【写真1】)はというと、さらなるポンコツ。
第二次大戦勃発の約 10 年前、1928 年に設計された “木” と “布地” をメインに作られた旧型機で、もはや実戦では何の役にも立たないと思われた、初心者の練習用や農薬散布などの雑用に使われていたものが軍によって徴用されたものがそれでした。
ドイツやイギリスの主力戦闘機を “バイク” と例えるならば、ソ連の主力戦闘機は “自転車” で、「ポリカールポフ Po-2」はさしずめ “三輪車” といったイメージではないでしょうか。
【参考動画 / ナチスドイツ主力戦闘機 】 ※ マニア向け
〚メッサーシュミット Bf109〛
〚フォッケウルフ Fw190〛
ポンコツ旧型機「ポリカールポフ Po-2」だからがゆえの想定外の利点
【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】の面々も、最初は命を預ける「ポリカールポフ Po-2」のあまりの性能の低さに自らの運命を覚悟したそうな。
“爆撃隊” とは名ばかりで、メインの武器たる爆弾も、その小さな機体には破壊力の低い小型のものがお飾り程度にしか搭載できませんでした。
が、彼女たちはすぐさま「ポリカールポフ Po-2」ならではの “利点” に気付き、やがてはそれらをうまく活用した戦法を編み出して、ドイツ軍を終戦に至るまでとことん翻弄させることになります。
“夜の魔女(ナイトウィッチ)” の誕生です。
彼女たちの職務には、前線仲間や隠れている仲間に食糧や手紙を投下したり、負傷者を運搬する、などの雑務もあったようですが、主な任務はドイツ兵に対する夜中専門の爆撃でした。
とはいえ、敵施設に大きなダメージを与えることはまず不可能だったので、つまりは敵兵に 恐怖・睡眠不足・疲労 を与えることによって戦意を喪失させる、いわゆる “嫌がらせ” をすることがその真の目的でした。
「ポリカールポフ Po-2」の利点その1 驚異の遅さ=背後から狙われにくい
ドイツの誇る最強 “バイク” も、“自転車” には勝てても、あまりにもスピードが遅く、それでいて安定性の非常に高い “三輪車” に対しては正攻法では撃墜することができず、逆に大きく手を焼かされることとなりました。
これは、ドイツ軍が自国の戦闘機パイロットたちに…
『「ポリカールポフ Po-2」を1機撃墜するごとに最高勲章の「鉄十字勲章」を1つ与える』
…としたことからも、その難易度がいかに高く、いかに脅威だったかがお分かり頂けましょう。
しかし、それはいったいなぜなのか…
ナチスドイツの「メッサーシュミット Bf109」や「フォッケウルフ Fw190」は、時速 600 km 以上があっさりと出せる高速戦闘機ですが、ソ連機「ポリカールポフ Po-2」は最高速度でも時速 150 km 程度と超ノロノロ。
“最高速度” がそれなので、それより遥かに遅いスピードでも問題なく普通に飛べたのではと思われます。
そして、この圧倒的な速度差が、ドイツの最強戦闘機たちにとっては想定外の大きな障壁となりました。
第二次大戦時の戦闘機にはまだ “空対空誘導ミサイル” などは存在しないため、敵機を空中戦で撃墜するためには…
相手機の背後に回る ➔ 相手機と同じ程度にまでスピードダウン ➔ 相手機をぴったりマークしながら照準を合わせる ➔ 機銃掃射(下画像【1】→【2】→【3】)
【1】敵機の背後に回る
【2】減速して狙いを定める
【3】機銃掃射
…といった方法をとるのが最もベターで確実とされた正攻法ですが、「メッサーシュミット Bf109」にしても「フォッケウルフ Fw190」にしても、うまく背後を取れたとしても、相手機をじっくり狙えるまでのノロノロ速度にまで落とすことができず、すぐにビュンと追い越してしまうのです。
減速しすぎると揚力(ようりょく:〖Wikipedia〗)を失って墜落してしまう、ってのがその理由ですが、ゆえに、たとえドイツ空軍のエースパイロットといえども「ポリカールポフ Po-2」を撃墜するのは至難の業とされました。
(※ 実際、第二次大戦後の朝鮮戦争では同型機を撃墜しようとしたジェット戦闘機が失速墜落した事例があるらしく、本機唯一の “ジェット機撃墜” の事例として記録されているそうです)
とはいえ、あまりにも簡素すぎるその構造から、ひとたび攻撃を受けてしまえばあっさりと炎上・墜落してしまったのもまた事実でした。(下写真)
「ポリカールポフ Po-2」の利点その2 驚異の安定性=エンジン止めても滑空可能
「ポリカールポフ Po-2」機体構造図 Wikipedia より
スピードの遅さはあまり褒められたものではありませんが、誰でも簡単に飛ばせるとされたその優れた安定性は、開発当初より定評高かった「ポリカールポフ Po-2」。
試験飛行などで、わざと “きりもみ状態” を作ろうにも、すぐに安定飛行に戻るため作れなかったと言います。
その安定性の高さはエンジンを切っても同様で、【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】がドイツ軍に気付かれることなくこっそりと爆弾を投下できたのも、この特性を最大限に活かしたからに他なりません。
ようするに…
[夜中に飛び立つ ➔ ドイツ軍陣地の手前で大きく上昇 ➔ エンジンを切る ➔ ゆっくり静かに滑空しながら爆弾投下 ➔ ドイツ兵たちが大混乱 ➔ エンジンを再スタートさせて一気にその場から逃げ去る]
…といった “夜這い” ならぬ深夜の爆撃が、これにより可能となったってワケです。
「ポリカールポフ Po-2」の利点その3 超低空飛行が可能=ドイツ軍のレーダー網を回避
戦車に戦闘機に潜水艦(Uボート)…
あらゆる兵器や工業製品で最先端を走っていたナチスドイツでは、レーダーシステムも「フライヤ(〖Wikipedia〗)」と呼ばれる “敵味方識別機能” 付きの優秀なものでした。
とはいえ、敵機を確実に探知するためには、その機が周囲の丘だの森だのよりも高い高度を飛んでいる必要があります。
そして、魔女たちの操る「ポリカールポフ Po-2」は、その “レーダーに探知される最低高度” よりもさらに低い超低空を飛ぶことが可能でした。
小さな機体&パワーの低い静かなエンジンの「ポリカールポフ Po-2」は、夜間に地上から発見することは極めて難しく、また彼女たち自身も、敵のサーチライトのかわし方など、度重なる出撃によってその操縦スキルを磨いていきました。
結果、地上の敵からの攻撃を受けることも少なく、やがては単なる “嫌がらせ” 目的ではない敵の重要拠点への爆撃なども彼女たち “夜の魔女” の任務とされるようになりました。
【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】から 23名 もが国家最高の名誉称号 “ソビエト連邦英雄” を GET!
【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】の終戦までの死者は、累計約 260 名中約 30 名とのことですが、彼女たちの、[出撃回数の多さ(終戦までに計 23000 回以上)]・[パラシュートを装備していなかった]・[何人かは戦争とは関係のないインフルエンザによる “病死” だった]、ことなどを併せ考えると、極めて少ない戦死者数だと言えましょう。
それはとりもなおさず、彼女たち一人一人が多大な戦功を残したということでもあり、なんと終戦までに【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】より 23 名もの女性兵士が国家最高栄誉たる「ソビエト連邦英雄(〖Wikipedia〗)」の称号と勲章を与えらました。
そこにはやはり、人一倍の愛国心とあわせ、万国共通 “負ける” ことが許されない女性ならではの意地や執念も少なからずあったのではないでしょうか。
“夜の魔女” たちの戦後は?
多大な活躍で、ソ連勝利に大きく貢献した【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】の面々でしたが、戦後、その名声や名誉によって空軍や航空業界で華々しい新たな人生を謳歌できたかと言えば決してそうではなく、所属部隊も解散となり、多くの元隊員は “飛行機” とは関わりのない一般女性と同じ生活を送らざるを得なくなりました。
戦勝の祝賀イベントですらも、国家を大きく勝利に導いたにも関わらず、 “遅いから” との理由で「ポリカールポフ Po-2」による彼女たちの飛行は一切認められなかったそうな。
“夜の魔女(ナイトウィッチ)” の有名な生還エピソード
【第 588 夜間爆撃連隊(夜の魔女 / ナイトウィッチ)】の一員、上画像右写真の女性《イリーナ・カシリーナ》は、奇跡の生還を成しとげた人物として有名です。
彼女の乗った機は、不運にもドイツ戦闘機「フォッケウルフ Fw190」の攻撃を受けてしまい、前席のパイロット《ダルシア・ヌッセル》は機銃弾を浴びて即死。
そのため、後席でナビゲーターを担当していた《イリーナ・カシリーナ》は、自身が操縦して基地まで戻らざるを得なくなりました。
前後二人乗りの軍用機は、通常前席者が操縦や機銃操作を担当し、後席者が位置確認や無線のやり取りなど雑務的なものを担当しますが、コックピットの構造は基本同じなので後席でも操縦することができます。
(※ 第二次大戦時の小型軍用機で “二人乗り” ってのはあまり例がありませんが、本来この機は軍用機ではなく “初心者の練習機” としても使われていたため、後ろに “教官席” を設けておく必要がありました)
が、後席の操縦かんが動かせないばかりか、機体も一気に急降下していきます。
一体なぜか…
操縦かんは、通常[引く=上昇 / 押す=下降]となりますが、なんと即死した前席パイロット《ダルシア・ヌッセル》の体が自身の操縦かんに覆いかぶさってその体重で押し込んでいたのです。(上画像参照)
操縦かんは前後連動しているため、そのままでは当然後席の操縦かんを動かすことはできません。
そこで《イリーナ・カシリーナ》がとった行動はと言うと…
なんと仰天、後席から身を乗り出して、死んだ《ダルシア・ヌッセル》の襟を片手で掴んで操縦かんから引き離し、その体勢を維持しながらもう一方の手で自身の操縦かんを操作して基地まで戻ったんだそうです。(上画像参照)
イリーナあっぱれ!
…が、奇跡の生還を成し遂げた《イリーナ・カシリーナ》も、その後の任務で敵の攻撃を受け、約 30 名の戦死者の中に名を連ねることとなってしまいました。
絵で見るだけだと “操縦かんを片手で操るだけ” の、一見簡単そうな感じにも思えますが、「ポリカールポフ Po-2」には “レーダー” や “無線” などは一切装備されていなかったため、自機の位置や目的地などは地図やコンパスを使って正確に割り出さなければならず、また、それらと並行して各種計器類の確認や足元の操作も同時に行わなければなりませんでした。
これぞ、誰にでもできることではない “奇跡” たるゆえんです。
【“夜の魔女” が何となくわかる動画2選】 ※ 微妙な日本語字幕もあり
〖The Russian Night Witches of World War II〗
〖The Night Witches and World War II〗
【余談】 女性初の “ソビエト連邦英雄” トリオ
女性兵士の登用を進言し、女性だけの爆撃隊を作り上げ、ソ連の勝利に多大なる貢献をした女性初のソビエト連邦英雄《マリーナ・ラスコーヴァ》(【写真1】)でしたが、その最期は戦闘ではなく、1942 年末、爆撃機「Pe-2」の単純な移送任務にて着陸に失敗し、その約一週間後に死亡するといった何とも “らしくない” ものでした。(享年 30 歳)
そして、彼女の骨壺が埋葬されたのが、「クレムリン壁墓所(〖Wikipedia〗)」に眠るもう1人の女性初ソビエト連邦英雄《ポリーナ・オシペンコ》(【写真2】/ 享年 31 歳)のすぐ隣。
《ポリーナ・オシペンコ》も訓練飛行中に墜落するといった意外な事故で、《マリーナ・ラスコーヴァ》よりも先、1939 年に亡くなっていたのでした。
その彼女たち2人と、1993 年まで存命した《ヴァレンティナ・グリゾドゥボワ》(【写真3】/ 享年 84 歳)の計3人が “ソ連女性初のソビエト連邦英雄” として有名ですが、授与されたのが第二次大戦前の 1938 年であることからもわかるように、彼女たちは大戦での “戦功” からその称号を授与されたわけではなく、1938 年秋に、3人揃って “直線飛行距離の世界最長記録(5,910キロメートル)” を達成した、その功績から与えられたものでした。
ただ、同じ日に授与されたとはいえ、順番的には《ポリーナ・オシペンコ》(【写真2】)が一番最初だったらしく、“真の初授与者” はとなれば彼女ということになりましょう。
で、この華々しい記録の裏には命からがらの有名なサブストーリーもあったようで、以下 Wikipedia の当該記事も一部転載しておきます。
いやはや女は強し。
【参考記事 / Wikipedia】
燃料が底をつく中、オホーツク海の海岸を発見した彼女らは、機長を務めていた《グリゾドゥボワ》の判断で森へ胴体着陸を行った。
航法士(ナビゲーター)の《ラスコーヴァ》はパラシュートでの脱出を命じられたが、その際に応急用品の携行を忘れてしまったため、彼女は救助隊のもとに辿り着くまで 10 日間も森の中を彷徨い歩いた。
なお、救助隊が飛行機を発見したのは、胴体着陸から8日後のことである。
《グリゾドゥボワ》と副操縦士である《オシペンコ》は機内に留まったため着陸の衝撃を受けたが、こちらも無事生還を果たした。
【おまけ動画】 現代版「ポリカールポフ Po-2」&「メッサーシュミット Bf109」&「フォッケウルフ Fw190」
ポリカールポフ Po-2
メッサーシュミット Bf109
フォッケウルフ Fw190
【独ソ戦オススメ映画】「スターリングラード」
なお、動画や書籍の配信サービス【U-NEXT】なら、“31 日間無料トライアル” の期間内に視聴して解約すれば、現状(本記事執筆時点)完全無料にてご視聴頂けるのでオススメです。(⇩)
【映画予告】「スターリングラード」
【独ソ戦オススメ書籍】 「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」
なお、動画や書籍の配信サービス【U-NEXT】なら、“31 日間無料トライアル” で貰えるポイント(600円 分)を使えば、現状(本記事執筆時点)格安で読むことができるのでオススメです。(⇩)
「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」 読者レビュー ※ Amazon より一部抜粋
・入門者に解るように書かれているが、その内容は驚きと「そうなのか」と思える充実した内容。
・本書をもとにして独ソ戦関連本への知識や興味を広げていけるでしょう。
・読みやすいながらも詳細に調べた結果が述べられている。おすすめする。
・手にとって見たら非常に分かりやすかった。ソ連を攻め落とすことは困難であり、甘くみたドイツ軍は反撃され大敗した。ソ連軍の損害も酷いもの。未だに消えない大変な傷跡を遺した。刺激的な本であった。
・スラスラ読める。内容も時系列のわかりやすさもピカイチ。本当に読みやすく理解しやすい。独ソ戦の全体像把握を目指すならば間違いなくこの著作から入るべきである。ミリタリーファンも一般読者も入門書として絶対に読むべき。
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